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お店を出た。
少し生温い空気が梅雨前を感じさせる。
「ご馳走様でした」
「いえいえ。このぐらい」
駅まで歩いて10分ほど。
渋谷くんが左手を差し出してきた。
「ん？」
「手、繋ぎましょ」
「…うん」
伸ばした左手に私の右手を重ねて
感じる、渋谷くんの体温。
そのままぎゅっと手に力を入れると
「ちゃいます、そうやなくて」と。
「手をパーにして下さい」
「パー？」
言われたとおり手をパーにすると
指と指が絡まって。
先に渋谷くんが指を折り曲げた。
それに習って、私も。
「こうやって繋ぐんすよ。覚えてくださいね」
「うん」
歩き出す。
ゆっくり歩幅を合わせて。
信号を渡って私が車道側になると
「反対」って
手を繋ぎ直して渋谷くんが外側を歩いてくれる。
「あ、もう駅ついてもうた」
「近かったね(笑)」
「ほんまっすね」
駅について
名残惜しそうに手を離す。
パスケースを鞄から出して。
渋谷くんは黒のスマホカバーにICカードを入れてるみたいで。
改札を通り
ホームに上がる階段の前。
また
渋谷くんが左手を差し出してくるから
ちゃんと指を広げて
手を繋いだ。
「よく出来ました」
「へへっ」
。
この駅から反対方向の電車に乗らなきゃいけない。
ホームの真ん中で立ち尽くして
何本も電車を見送った。
「次でええ加減乗りましょか(笑)」
「そうだね」
「さすがに連れて帰るのは…」
「…わたし実家だし」
「そうなんすか？」
「うん」
「Aさん」
「なに？」
「これからいっぱいAさんのこと教えて下さいね、知りたいし」
「わたしも…渋谷くんのこともっと知りたい」
「…ちょ、ほんまやめて下さい」
「…？」
「そんな顔されたら帰したくなくなるやないですか」
「…」
「好きです、Aさん」
「…」
「…あ、電車来た。帰りましょ」
手が解かれて
別々の電車に乗る。
ドアの近くで小さく手を振る渋谷くん。
「またあした！」と口パクするから
「またあした」と私も呟いてドアが閉まった。
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sangozygo(プロフ) - はるまきさん» はるまきさん、ありがとうございます。なるべく定期的に更新したいのですが、それだとやはり最後まで書いてから公開するスタイルが合っているなぁと実感しております。焦ると良くないので納得行くまで突き詰めますね(*´ω`*) (2018年11月2日 7時) (
レス) id: b426f69b31 (このIDを非表示/違反報告)
はるまき(プロフ) - 風邪は大丈夫でしょうか？急に寒くなってきましたからね(^^;お気をつけください。更新がくる度にワクワクドキドキしながら読んでます。お忙しいと思いますがさんごさんのペースで頑張ってください。大好きです(^з^)-☆ (2018年11月1日 9時) (レス) id: 50b884f687 (このIDを非表示/違反報告)
sangozygo(プロフ) - がくたんさん» がくたんさーーーん！！お待たせぇぇ！！ (2018年10月21日 16時) (レス) id: b426f69b31 (このIDを非表示/違反報告)
がくたん(プロフ) - お帰りー！！！ばんざーい！！！ (2018年10月21日 15時) (レス) id: c5150bc668 (このIDを非表示/違反報告)
sangozygo(プロフ) - 黒川夢路さん» 夢路さぁーん！なんと奇遇な。武蔵小金井はお近くなのかしら？その徳重のカフェ場所分かったから今度行ってみるwなんだろこのご縁。素敵だわw (2018年9月24日 13時) (レス) id: b426f69b31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sangozygo
| 作成日時：2018年8月20日 21時
