スパンコールな波際で。(緑)

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「こっち見て、A」



こんなに破壊力が強いと思って無かった。

たーくんに呼び捨てにされるだけで
心拍数が上がって胸が苦しい。


『キスしてくれるんでしょ？忠義』


「…する」


車の狭い後部座席で
たーくんの腕が背中に回る。

重なる唇。

1回で終わるはずもなく
貪るようにお互いを求め合う。




『車の中は流石にやだ…』


「でも、もうどこも行かれへんやん？」


『そうだけど…しかも外だよ？』


「どうする？ホテル行く？」


『…たーくん制服だよね』


「そやねん。ヤバない？着替え持ってきたら良かった」


『困ったな…』


「…俺の部屋来てよ。たぶん親おらんし」


『そうしよっか…玄関から行く』



たーくんをそのまま後部座席に残し
私は運転席に戻り家の駐車場に車を停めた。

窓から行くのも考えたけど
親が何を言ってくるか分かんないので
1度出掛けてくるとだけ伝えて再び家を出た。

すぐ隣のたーくんの家。
玄関からお邪魔して
たーくんの部屋に直行して
さっきの続きを……。






「Aちゃん、シャワーどうする？」



『あとでいい、しよ？』



「ちょ、積極的…」



『だってしょうがないじゃん』



「なんで？」



『なんでって、たーくんがあんなにチュッチュッチュするからでしょ！』



「俺のせい？Aちゃんやってチュッチュッチュチュッチュしたやんか！」



『しかも、もうAちゃんに戻ってるし』




「そんなんAちゃんかて、たーくん呼びやんか！」



『…』



「…」



『…もう』



「しゃあないなあ」






再び始まるキス。

倒れ込み沈むベッド。

お互いの服を脱がせて。




「A」




『…っ、あ』




「好きやで、A」




『んっ、あたし、も。忠義が、好き』






＊



「秋になったら学祭あんねや」



『へぇ、学校関係者以外でも行けるの？』



「大丈夫！A来てくれる？」


『行く！』


「やった………あ、でも北山絡むとあいつウザイからな……んー、」



『こらこら。友達は大事だよ』



「そうやなあ。あ、俺のクラス焼きそばの屋台やんねん」



『へぇ』




「一緒に回ろ」



『時間あるの？』


「たぶん」



『また教えて』



「分かった」



『さ、帰ろっかな』



「えー。帰したないなあ」



『すぐ会えるじゃん』



「そうやねんけど」



名残惜しいのか
腕の中から解放してくれなくて。
またチュッチュして。

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