09（完結） ページ9
「…お前みたいなガキは嫌いやねん」
横山が立ち尽くす。
「15以上も年下のガキなんて相手にする訳ないやん。勘違いするんも甚だしいで。もう部室こんといて」
横山は走って出ていった。
ガランとした部室。
よう俺あんな酷いこと言えたな。
横山、泣きそうな顔しとったな。
「…ッ！！」
盤の上を腕でなぎはらった。
床に散らばる駒。
涙はすでに枯れてしまって
出てこなかった。
深雪さんに終わったってメールした。
返事はかえってこなかった。
職員室に帰る途中
外を見たら、村上に引っ張られて歩いて帰る横山を見つけた。
頼んだで、村上。
大「丸、どしたん？」
丸「…ああ、おーくら…ぼーっとしとった」
大「最近疲れとるんちゃうん？大丈夫か？」
疲れてへんよ。
大丈夫やって。
でもちょっと休みたいなぁ…。
気づいたら保健室のベッドの上やった。
気ぃ失っとったらしい。
おーくらが家まで送ってくれた。
大「丸、ホンマ明日休まんで大丈夫か？」
丸「あかん。明日は休めれん」
…明日は学校行かな。
横山の前で冷静な顔しとらなかん。
大「病む前にちゃんと休めや。最近お前目がヤバイで」
丸「…おーくら…俺、そんな目しとる…？」
大「なんかいつもの丸らしくないで」
丸「…いつもの俺ってどんなんやっけ…」
大「ホンマ病院行けや。心配やて」
丸「…ん、せやな…」
ベッドに転がってとにかく目を閉じた。
深雪さん？
横山？
どっちもこっち見て笑っとる。
でも手を伸ばしてもどちらにも触れられなくて
俺は1人で砂の中をもがいて
深く深く闇へと落ちていった。
そこで目が覚めた。
丸「はぁはぁ…」
時計はまだ真夜中。
シャワー浴びて酔えない酒を浴びるように飲んだ。
次の日何とか普通に過ごせた…と思う。
横山も普通やった…と思う。
期末テストが終わって
横山と面談があった。
成績が良かったから
Ｎ高の推薦取れたって言うたら喜んでた。
ホンマよかったな…。
横山ももう吹っ切れたような顔しとって
ホンマ強いなこの子は…。
俺、何もしてやれんでごめんな。
父親やって名乗ることもできへん。
卒業したら見守ることもできへん。
ホンマごめんな。
俺のことは忘れてくれや。
丸「A」
小さな声で初めて呼んだ君の名前。
幸せになるんやで。
祈ってるで。
3月、俺は教師を辞めた。
いつかこの闇を抜け出せるかな…。
終わり
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←08
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
sangozygo(プロフ) - NobuYouさん» ねーーー！丸山先生を幸せに出来ないのが本当に心残り！(笑)降りてきてわたしの脳内ー！ (2017年8月28日 16時) (
レス) id: e74e44746d (このIDを非表示/違反報告)
NobuYou(プロフ) - そんな展開だったとは！？丸山先生がちゃんと笑えて心から幸せになる日が来る事を願ってます。 (2017年8月28日 4時) (レス) id: beff6a0c0a (このIDを非表示/違反報告)
sangozygo(プロフ) - ココナッツさん» ココナッツたん。ごめんねぇ。こんな脳みそで。先生救いようが無いでしょ(笑)どっかで救ってあげたいよーーー。でも降りてこないの。しくしく。 (2017年8月22日 15時) (レス) id: e74e44746d (このIDを非表示/違反報告)
ココナッツ(プロフ) - 丸山先生ーー！！！(泣)あぁ…丸山先生に幸せになってもらいたい… (2017年8月22日 14時) (レス) id: b7090edd86 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sangozygo
| 作成日時：2017年6月2日 19時
