Good Time 2 (黄)

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Aside


その日は珍しく残業の日で。



信五さんは早番で上がって
アルバイトさんが帰って
ひとりで客注の商品の在庫を
各店舗に確認の電話を入れていた。





あ、電気消された(笑)

ホシミツは栄と違って
すぐに電気を消される。
しまった。延長申請しとけば良かった。


経費削減だって。

まあそっか。

売上ホントにやばいです。





スマホのライトで
手元を照らしながら
在庫確認の電話を続ける。

人気商品だからなぁ。

どこも出してくれないや(泣)





足音がして
警備員さんに怒られるかなって思って。






村「まだおったんか」



「え。村上さん…どうしたんですか？」



村「営推で商談長引いて」



「早番で上がられましたよね？」



村「おん。先方さんが今日しかあかん言うて。なん、客注あらへんのか？」




「はい…どこも出してくれなくて」




村「電話貸せ」



少し指先が触れた。





村「もしもし〜お疲れ様です。ホシミツの村上ですぅ。あい、あい。そうですぅ」



村「あー、その商品うちの大事な顧客さんが欲しがっててですねぇ。出してもらえませんか？」



村「あ、そうそう。そやねんて。頼むわ。ありがとう！ほんま助かる！今度お礼させてな！じゃ！あいあいー！」



受話器をあたしに渡して





村「仙台店から回してもらった」



「すご…あたし断られたのに…」




村「ま、知り合いおるからな。これで帰れるやろ」





ぽんぽんと肩に手を置かれた。



「は、はい」



村「まだこれ使っててくれたん？」




胸ポケットに差してある
モンブランのボールペン。
信五さんに1番最初にプレゼントされたもの。




これだけは捨てられなかった。



「…はい」









真っ暗な化粧品売り場で

信五さんと二人っきり…。



肩に置かれた手が離れてくれない。




村「…」





「し、信五さん？帰らないんですか？」





村「…やっと、名前で呼んでくれた…」



「え…」




村「A…会いたかった」




大きな柱の陰に連れてこられて
ギュッと抱き締められた。



「や、やめてください…」





村「嫌や」





「信五さん…やめて…」




村「…お前と離れてほんま辛かった」





「やめてください…」



村「嫌や言うてる」




信五さんの大きな右手が
あたしの顎を持ち上げて







暗がりの中



キスをした。









。

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