6 結構ゲラよ？ ページ6
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あれから2週間ほど過ぎていた
風磨と樹くんはクラスを代表とする陽キャに上り詰めており、私なんかとは全く違うランク付になっていた。
そして私は部活に入らない代わりに図書委員会になった
これは内申点の為。
委員会には同じクラスからもう一人男子が入ってきた
松村北斗くん
ほぼ会話もしたこともなければ目も合わせたこともない。
そんな松村くんは私が知っている限りでは朝ドラに出たり、映画にも出ていてクールな印象しかなかった。
この世界観でもそれは同じみたいで…
「ま、松村くん…今日一緒の活動だね。よろしくね」
若干震える声で話しかける私
なんでこんな緊張してるんだろ
樹くんとはやっぱ違う雰囲気だからかな…？
「よろしく、野坂さん」
目線は合わせないで軽く挨拶だけ
てか私の苗字知っててくれていた方が驚きだった。
そして私たちは本の整理を始める。
返却されてきた本を元の場所に戻す作業。
私の担当の本は思ったより重い本が多い。
「ん〜、よいっしょ！」
我ながら年寄り臭い掛け声が出たなぁと恥ずかしく思いながら隣で同じ作業をしていた松村くんを見てみると見たこともない笑顔で笑いを堪えていた。
「あっ、ごめん」
「松村くん、笑いながら謝ってるの矛盾してるよ？むしろ笑って茶化してくれた方がこっちも恥ずかしさ半減するからっ」
「あ、そう？じゃあ、そうするわ……ハハッ！野坂さんお年寄りみたいだってそれぇ！」
どうやら松村くんのツボに入ってしまったらしく腹を抱えて笑っていた
だいぶ印象変わった気がするなぁ…
「ちょ、松村くんここ図書室だからッ！」
「あ」
数人の生徒が私たちをキツく見ているのが分かった私たちはそそくさに作業を再開させた。
「松村くんって結構笑うんだね」
私が小さい声で話しかける
「こう見えて俺、結構ゲラよ？」
初めてお互いの目と目が合った
真っ直ぐでキレイな瞳に、私は少し胸が痛くなってしまった。
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作者名：珊瑚礁 | 作成日時：2024年1月8日 14時
