44 俺が惚れた女。 ページ44
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私が立ち上がった瞬間、後ろの風磨たちもビクッとしたのが背中から分かる。
もしろん、横に座ってる樹くんも驚いて私が何を言い出すのか見守ってるようだった。
「な、なに急に？」
「樹くんのこと顔で選んでるのは貴方じゃないんですか？ホントに好きだったら、樹くんが好きな人と恋愛をしているのを邪魔しちゃいけないんじゃないですか！？」
「…わ、私は顔でなんか、」
「ホントにそう言える？モテる樹くんと付き合ってるっていう自己満足で満たされたいんじゃないんですか？」
「……っ、そうじゃない…違うってばっ！」
女の子はお水の入ったコップを手に取りこちらに向けて水をかけてきた。
あ、やっぱりこのシチュエーションは回避できなかったのね…
と、目を瞑ってちょっと言いすぎたことを反省していた時
私のカラダに覆い被さる人影
目を開けてみるとそこにいたのは樹くんだった。
「Aちゃん、大丈夫だからね？」
「樹、くん…？」
私に一言囁いたあと、樹くんは女の子の方に顔を向けた
「俺が惚れた女を傷つける女なんて、ぜってー好きになんかなんねぇよ」
「じゅ、樹……っ」
私のことを抱きしめる樹くんの上着には、女の子がかけたお水で濡れていた。
そして樹くんの冷たい一言に恐れたのか女の子は諦めたようにお店を出て行った。
「樹くん、ありがとう」
「いや、俺の方こそありがとうだって。俺みたいなモンの為にあいつに言ってくれてスッキリしたよ」
さっきまで冷たい目をした樹くんはいつもみたいな柔らかな瞳に変わっていた
「間違って俺に惚れたりした？」
「危うく惚れかけたかもね」
「マジかー、やっぱ俺ってモテるわ！」
樹くんの笑ってる顔を見てると今まで不安だったであろうものが取り除けたのかなってホッとする
これから思う存分、恋愛出来るかもね樹くん。
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作者名：珊瑚礁 | 作成日時：2024年1月8日 14時
