38 この顔も悪くないかなって。 ページ38
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ナンパ男を京本くんが撃退した後、いつもの雰囲気き戻った彼と何もなかったように歩いていく。
少し落ち着いてきたところで京本くんから口を開いた。
「さっきの大丈夫だった？」
「いや、私は大丈夫だけど…でも何で京本くんにナンパしてきたのかイラッとするかな。私の方が明らかに女子なんですけど」
「あはは、俺が邪魔して見えなかっただけじゃないん？」
「京本くんはオーラがあるからなぁ〜、ナンパされるのも仕方ないか」
「でもさ俺、昔から女の子に見られることが多くてすっごい嫌なんだけど、今日はそれでAさんを守れたからこの顔も悪くないかなって思えた」
「京本くん…ありがとう」
「ほら、洋服選ぼうよ！樹をアッと驚かそうっ」
「うんっ！」
その後は当初のレンタル彼女の予行練習なんてすっかり忘れてただ単に私の洋服を一緒に選んでくれる京本くん。
風磨とも何回かショッピンングに来たりはしていたけど、こんな一気に距離が縮まるなんて正直思わなかった。
風磨にはこんな感情抱いたことなんてなかったから。
京本くんが選んでくれた洋服を試着し、さっきのお店とはだいぶ変わるけど彼のお墨付きがもらえたんだからとこの洋服を買うことにした。
「これで彼女役、頑張ってきてね」
「京本くんのおかげだよ。ホントにありがとう」
「あと、これも」
きょうもとくんから手渡されたのは小さな紙袋
中身はなんか箱形をしているみたい
「これ、は？」
「開けてみて？」
紙袋を止めているカラフルなテープを破けないように綺麗に剥がすと
取り出されたのは箱に入ったコロンだった。
「これ、私に…？」
「俺の好きな香り、Aさんにもつけて欲しいから。樹に魅力見せつけてやってね」
風磨以外の男の子から貰ったプレゼントなんて初めてで
浮かれ気分になってしまったのは京本くんにはバレないように私の胸の内に隠しておこう。
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作者名：珊瑚礁 | 作成日時：2024年1月8日 14時
