32 もうあんな思いは。 ページ32
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外もだんだんと暗くなってきた頃
部屋には私とジェシーくんだけ。
風磨以外に男の子とこういうシチュエーションになったことないから緊張してしまう。
「ジェシーくんはまだ帰らなくて大丈夫なの？」
「うん。Aちゃんと一緒にいられるから嬉しいしかないけど？」
若干上目遣いをする彼をあざといと思った。
いろんなアプローチの仕方があるんだなぁ。
落ち着こうと思って持ってきたカフェラテをジェシーくんにも渡して隣に座る。
一口飲むと彼がまた軽く私を抱きしめてくる。
「レンタル彼女、ホントは嫌だけど樹が困ってるから助けてあげてね？」
「うん…どうしたら良いか分からないけどやれるだけやってみるね」
「それと、怪我とか事故とかホントに気をつけてよ？俺の心臓がもたないから」
「…ごめんね、心配かけて、」
「もうあんな思いはしたくないから…」
私を抱く力が強くなっていく
切ない表情を見て痛いだなんてとても言い出せなかった。
ジェシーくんに何かあったんじゃないかってそっちのほうが心配で私も無意識に軽く抱きしめていた。
「Aちゃん、好きだよ。樹に嫉妬しちゃう俺を許してね…？」
いつものテンションの高さとは違う声のトーン
ジェシーくん、そこまで私のこと好きでいてくれて…
あったかい気持ちになった時
急に部屋の扉が開いた。
「ただいま〜、夕飯今から作るからねぇ、って」
母親の目の前で抱きしめあっている私とジェシーくん
お母さんは「ごめん！」と言いながら扉を乱暴に閉める。
現実に戻り、二人で誤解を解くためにお母さんを追いかけるのであった。
お母さんには友達と紹介したけど絶対そう思われてないだろうなぁ、と肩を落としていると
ジェシーくんは嬉しそうに隣でお母さんと話し続けていた。
ジェシーくんのコミュ力はマジですごいと思った瞬間だった。
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作者名：珊瑚礁 | 作成日時：2024年1月8日 14時
