13 そうなんだってきっと。 ページ13
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さっきまでふざけ合っていた時の笑顔のジェシーくんから
今はすごく切ない表情をして私を抱きしめて見つめてくる
「ジェシー、くん？」
「なんで風磨なの？」
少し目を潤ませながら彼は声を震わせて聞いてくる
「なんでって、風磨がどうしたの？」
「今日の二人の喧嘩見ていて気づいたことがあるんだけど、俺さ…Aちゃんのこと好きだよ」
本当に驚くと人って何も声を出せないんだなって
聞きたいことは山ほどある
なんで私なの？
ジェシーくんとそんな絡んだことないじゃんっ
それに私が現実世界で知ってるジェシーくんはバラエティー番組でおちゃらけをしている姿なのに
なのに何でこの世界観では好きだって言ってくれるの？
ジェシーくんの体と私の体を引き離して息を整える。
この後顔を見上げたらいつもクラスでみる彼になっているはず。
今の言葉は私の聞き間違いなんだって、そうなんだってきっと。
またゆっくり彼を見上げると同じ表情をしていた。
「好きだよ」
私が何も言えないでいると急に笑顔に変わりいつものジェシーくんに戻った
「じゃあカラオケにでも行く？俺歌上手いよ！」
「え、うんそうだね」
「やった！じゃ行こ」
今度は手を繋がなくて並んで歩いて向かった。
さっきのはやっぱり聞き間違いなんだと自分に言い聞かせてやった。
カラオケ屋に入っていざ密室で二人きりとなるとどこか緊張してしまう。
風磨と二人きりでいる時とは全然違う雰囲気
「最初は俺でいい？じゃあ、曲入れちゃうよー」
イントロが流れジェシーくんが歌い出す
「うまっ…」
彼は歌いながらニヤリとする
ジェシーくんの歌声に聴き惚れてしまいそうだった
それから恥ずかしながら私も歌ったり、二人でデュエットしたりして時間があっという間に過ぎた。
「そろそろ帰らないと…」
「今日はありがとう楽しかったよ、Aちゃん」
そして彼から手渡されたのは京本くんから貰ったメモ
「約束通り、ちゃんと返すね。それと俺もその内容と同じだから」
メモの内容、つまり『さっきの話、考えておいてね』
同じだからっていうことは…
「俺、Aちゃんとお付き合いしたい」
外の風が強く感じると同時にカラオケ屋から賑やかな声達が聞こえてくる。
「Aと、ジェシー…？」
そこにいたのは部活をサボったであろう風磨と樹くんだった。
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作者名：珊瑚礁 | 作成日時：2024年1月8日 14時
