63話 ページ27
ワタシが産まれたのは少し肌寒い春だった。
お母さんは、私が産まれた時大層喜んだそうだ。
でも……
それは一瞬の事だった
お母さんは私が大きくなるにつれ性格が豹変してしまった。
私が4歳の頃……
「どうしてよっ!?どうしてあの人は帰ってこないの!?」
母は物にあたるようになった。
朝から昼までヒステリックに怒り続け、手当り次第に物を壊し始めた。
『「……」』
私はその時間がいつも怖くて、ずっと柱の影に隠れてた。
夜になれば酒に溺れ、1日を終える……これが私の中の``普通``だった。
そして私が5歳の頃、ついに母は私に手をあげ始めた。
最初の頃は痛くて、苦しくて泣き叫んだ。
落ち着いた後、母は私に「ごめん…ごめんね……」と謝り続ける。だから私は「いいよ」と言って1日が終わる。
だが、人間とは不思議な物……そんな日常が慣れてしまえば、私に謝罪なんてしてこなくなった。
そんな事が2年ほど続いた頃だった。
ついには、
「あんたが……あんたが悪いのよ!!あんたさえ生まれて来なきゃ…私は……私は……!!」
母は私に感情をぶつけてきた。
小さいワタシは考えた。どうしたら、前の、私が産まれたばかりの頃の母に戻ってくれるのだろうかと。
そして、私は思いついた。
『「ワタシがいい子になればいいんだ」』
それが、小さい私に思いつけた最初の目標だった。
だから私は必死に頑張った。
少しでも母が楽になればと、小さな体で町中の仕事を片っ端から引き受けた。大人達は仕方ないと言った表情で私に仕事を任す。
朝から晩まで働けば、家へ帰り母親が壊したものを片付け、ベッドを綺麗に整える。
そして私は、少しでも家の負担が無くなるようにと子供の足では遠い道のりの先にある井戸へいき、体を洗う。
そんな事を繰り返し、家に着けば死んだ様に眠る。
それが私の1日だった。
そんな日常が3年続いた。
そして、事件は起こってしまった。
「なんでよ……なんでなのよ……あいつが産まれてもう10年も経つのよ…どうして、どうして来てくれないのよ……」
母はついに私の名前を呼ばなくなった。
「……そうよ……あんたが、、あんたが悪いのよッ!!!」
母は、私を悪魔のようだと嫌い始めた。
『「(どうして……)」』
小さな私には分からなかった。これ程頑張っても、努力しても、母親は変わってくれない。
私は母を信じて、頑張ってきたのに…どうして、?
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Rukia (ゆっくりゆる) - な、なんで……ソウさん×すんっ?! いくら面白くても許せんわ(誰目線) (2021年2月27日 18時) (レス) id: 2e12baa0e6 (このIDを非表示/違反報告)
トギリ(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます!課題!!もう頑張りました!!これからも更新頑張りますね! (2020年9月2日 22時) (レス) id: 735f3d0df8 (このIDを非表示/違反報告)
トギリ(プロフ) - 桜彩さん» ありがとうございます!!楽しみだなんて言って貰えて作者は禿げることしか出来ません(??)!! (2020年9月2日 22時) (レス) id: 735f3d0df8 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - トギリさん» お帰りなさい!!(( 課題お疲れ様でした!更新嬉しいです…! これからも応援してます! (2020年8月31日 23時) (レス) id: cc998c0500 (このIDを非表示/違反報告)
桜彩 - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2020年8月31日 22時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トギリ | 作成日時:2020年7月28日 18時