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さっき、麦茶を飲んでたから唇が冷えてたのかな。
「ふふ、不意打ち」
ニヤーっと智くんがこっちを見てる。
いつもの智くんに戻った。
今度はこっちから、ほっぺじゃなくて唇に不意打ちした。
「うぉ、」
「フフッ、不意打ちー」
智くんの顔を覗き込むように言うと、唇を少し尖らせて、今度はガバッと抱き締められた。
「智くん」
「ん？」
「私達、汗臭い」
「うっせ」
ぶっきらぼうに文句を言いながら、彼は私を離した。
「A、家帰らない？」
いきなり呼び捨てで呼ばれたことに驚いた。
「、なんで？」
「釣りたいものはもう釣れたし」
「...」
智くんがこんな昼間から、釣りをやめて家に帰る、なんて言うのは初めてだ。
「クーラー効いたとこでイチャイチャしたい」
「えろいコト考えてんじゃないの？」
「そりゃあ、ねぇ？」
「アハッ、そこは一応否定してよ」
また智くんは、ペットボトルの麦茶をゴクゴク飲んだ。
動く喉仏に少しドキッとする。
「珍しいね、智くんが途中で切り上げるなんて」
「ん？」
「智くんって趣味も大事にしたい方なのに」
「今日はAと一緒にいたいから」
智くんは、堤防の上からヒョイっと下に降りた。
私はまだ堤防の上にいるから、智くんを見下ろす形になってる。
「今も一緒にいるじゃん」
そう言うと、智くんはぶっきらぼうに
「あーあ！なんで分からないかな！」と冗談交じりの顔で言う。
「友達のAちゃんじゃなくて、恋人のAと一緒にいたいんだってば」
「...」
「...」
「智くん」
「何」
「かわいい」
茶化すように言ったら、彼は少し機嫌が悪くなった。
んふふ、かわいい。にやけちゃう。
私の彼氏、すごく可愛い！
「帰んぞ」
「うん！」
テンション高めに返事したら睨まれた。
「智くん」
「...」
「私、智くんのこと大好き」
含み笑いしながら言ったら、本当に笑い声が少し漏れた。
無意識に出る幸せの笑いってこういう事なのかな。
返事は無かったけど、彼は道具を持つ手を替えて私の手を握ってきたから
また息だけ笑いが漏れて、智くんも含み笑いでこっちを見てた。
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さんご(プロフ) - しおりさん» はじめまして、しおりさん。コメントありがとうございます。そんなこと言って頂けるなんて、もう嬉しい限りです(笑)こちらこそありがとうございます(´ω｀) (2019年9月21日 12時) (
レス) id: e1b1cf4c3f (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - はじめまして。どのお話も優しくて、心が温かくなりました。さんごさんの丁寧な言葉の紡ぎかた大好きです。多分何度も読みに来ちゃうやつだ(^^)ありがとうございます。 (2019年9月21日 7時) (レス) id: 072c120661 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんご | 作成日時：2019年8月15日 16時
