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「てか、そこ？」
何が？と私は潤を見る。
「イタリアが似合う」
「うん」
「明日からなら、飲んでる場合じゃない」
「うん」
「そこなの？」
え？って一瞬考えたけど、あぁと納得した。
「お気をつけていってらっしゃいませ」
執事のように頭を下げたら、ケラケラ笑いだした。
「そうじゃないんだよなー！(笑)」
「え？」
「ズレてるよな、お前」
「そう？」
「うん。まぁ、そういうとこが好きなんだけど」
、、、。ん？
「え？」
「あぁ、友達としてね」
で、ですよねー！！
「なんだ、ビックリしたじゃんよ」
冗談っぽく言う。潤も、少し笑ってる。
「明日見送りに行った方がいい？」
「どこに？」
「空港に」
「明日仕事は？」
「休み」
潤は来てとも来なくていいよとも言わなかった。言わないのが彼らしい、と少し微笑む。
潤は、本当は甘え上手なはずなのに、なぜか私にはそれを見せない。5年くらい前から、それは始まった。私が彼氏にフラれて、潤が私を引っ張ってくれた時くらいからだった。
「半年で戻ってくるんでしょ？」
「うん」
「ほら、こないだ美味しいお寿司食べに行ったじゃん。あれ、半年前だよ」
「それこないだじゃねぇだろ(笑)」
「でもあっという間じゃん？大丈夫大丈夫、すぐ終わるよ」
「俺なんで慰められてんの？」
「え？嫌なんじゃないの？そんな感じがしたんだけど」
「嫌だけど、別に仕事は嫌じゃない」
「なにそれ(笑)」
「Aと飲み会できないのが、ちょっと…いや、結構嫌」
今日の潤は、飲むペースが早い。
ふーん？と言いながら、潤の顔を覗き込む。そんなこと言うなんて、珍しいね。
その後も、相変わらず飲むペースは早かった。いつもはどんなに早くても、先に酔うのは私だった。だけど今日は、潤が酔った。隣でもう寝てる。
明日の準備なんてしてないはずだ。スーツケースを私の家に持ってきてる訳じゃない。朝帰って行くのは大変だろうから、少し経ったら起こそうと思う。思ってた。でも私も寝てた。ソファの上で起きたら、体の上にタオルケットがかかってた。
起き上がって、机の上に空き缶が沢山並んでると思ったら。全部片付けてくれたみたいで、代わりにメモが置いてあった。
『13時の便。』
ふふっ、と笑いが出た。
「なんだ、見送ってほしいんじゃん」
まぁ、分かってたけどね。
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さんご(プロフ) - しおりさん» はじめまして、しおりさん。コメントありがとうございます。そんなこと言って頂けるなんて、もう嬉しい限りです(笑)こちらこそありがとうございます(´ω｀) (2019年9月21日 12時) (
レス) id: e1b1cf4c3f (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - はじめまして。どのお話も優しくて、心が温かくなりました。さんごさんの丁寧な言葉の紡ぎかた大好きです。多分何度も読みに来ちゃうやつだ(^^)ありがとうございます。 (2019年9月21日 7時) (レス) id: 072c120661 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんご | 作成日時：2019年8月15日 16時
