#3 ページ29
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私たちも21歳になった。お酒も飲める、大人な年齢。だけど、二宮くんと私がそういう関係になることはなかったし、私も諦めつつあったのかもしれない。
「Aはさ、好きな人いるんでしょ？」
大きく頷く。酔っ払っていて、頷くのもすごく大袈裟になってしまった。
友達と飲んでも、ここまで酔っ払うことは少ないのに、恋愛の話になると飲みすぎるらしい。
「チカも好きな人いるって言ってたじゃん」
「いるけど、それよりAの話が聞きたいの」
「なーんにも進展ないよ」
「そろそろどんな人なのか、教えてくれても良くない？」
「やーだねー」
チカがまた追加のお酒を頼んでる。まだまだ話すつもりだなこれは。
「でもね、いつも連絡してくるの」
「え？それは脈アリじゃなくて？」
「ううん、ゲーム目当てなの」
「んー…でも、ある程度の好意がなかったら、そんなに頻繁に連絡しないと思うよ？」
「…そう…？」
今度はチカの方が大きく頷いた。
「…大好きなのになぁ」
小さく呟いたら、チカが私の背中を思いっきり叩いてきた。さっきうやむやにされたチカの恋愛話を聞き返したら、少しずつ進展があるようだった。羨ましい。幸せそうにしやがって、呪ってやるー！なんて冗談を言って、笑って家に帰ってきた。
私が飲むのは次の日が遅いか休みの時。
次の日は飲みすぎて頭が痛かった。休みで良かった。
休みの日は決まって連絡が来る。ゲーム、どう？と。でもその日はかかってこなかった。それだけで、何故かすごく心配になった。電話をかけるべきなのか、かけたら迷惑な用事だったりして……なんて考えたり。
でもいつも二宮くんからかけてくれるから、私からかけてみるのもいいんじゃない？
勇気を出してかけてみたら、彼はすごく甘い声だった。
「…もしもーし？ンフフ、Aだ」
「…あれ、酔ってる？」
「うんー、酔ってない」
それはどっちの返事だ。
「今日はね、美味しいお酒なの」
「なんで？」
「難しかったゲームにクリアしたのよ」
声だけでテンション上がってるのが分かる。電話越しのテレビからゲームの音も聞こえる。
「いやね、対戦相手が多分プロのゲーマーで手強かったのよ」
「そうなんだ、私には到底無理そうだね」
「そうね、これはオレにしか攻略できないかも」
でたでた、またバカにしてくるやつだ。
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さんご(プロフ) - しおりさん» はじめまして、しおりさん。コメントありがとうございます。そんなこと言って頂けるなんて、もう嬉しい限りです(笑)こちらこそありがとうございます(´ω｀) (2019年9月21日 12時) (
レス) id: e1b1cf4c3f (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - はじめまして。どのお話も優しくて、心が温かくなりました。さんごさんの丁寧な言葉の紡ぎかた大好きです。多分何度も読みに来ちゃうやつだ(^^)ありがとうございます。 (2019年9月21日 7時) (レス) id: 072c120661 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんご | 作成日時：2019年8月15日 16時
