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「わかんない」
「え？」
「その子が好きな人と、どうなってるか分かんないからさ」
「あー...そうなんだ」
電車がホームに入ってくる時より風が強くて、ロングスカートの裾の方を常に持ちながら歩く。
「いざって時に何も言えなくて、積極的に行っていいのか迷うよ」
積極的になんて、ならなくていいのに。なんて願ってる自分にまたビックリして。
「翔くんだったら、積極的に行ったら誰でもコロッと落ちそうだけどね(笑)」
なんて、願ってることと逆のことを喋る。
あー寒い、と話を咄嗟に変えたら、さっきのマフラー巻いたら？と提案された。
「あっ、今思ったけど、あのマフラー翔くんにも似合うと思う」
「ホントに？(笑)」
「うん！あ、巻いてみる？巻いてみようよ」
本気で似合うと思った。でも、家までの時間を稼ぐための、口実。
人通りの少ない道。小さな街灯が道を照らしてる。
端に寄ってマフラーを出した。
彼の方が背が高いから背伸びすると、彼も頭を少し下げた。
いつもの自分の巻き方で巻こうとすると、見てる方向がいつもと逆だからか、変な巻き方になる。
「ごめん、やり直し...」
結ぶのに失敗したマフラーをほどいて、また結び直そうとすると、右手首が少し暖かくなった。
「、」
彼の大きな手に掴まれた。
それに気づいてからは、鼓動が早くなって呼吸ができてるのか分からなくなった。
「積極的に来られたら、誰でもコロッと落ちるんでしょ？」
「...え？」
それって...
優しくその手を引かれて、ポンっと胸の中に入るように、彼に抱き締められた。
グイッと引っ張らないのが翔くんらしい。
「積極的に行ったら、他に好きな人がいるAちゃんでも落ちる？」
「...」
「俺が好きな人って、Aちゃんのことだよ」
その言葉を聞くと同時に、ぎゅっと抱き締められる力が強くなった。
「...ねぇ」
「、」
「俺のこと友達としか思ってないから、こんなこと簡単にできんの？」
「...」
「俺、マフラー巻く時すげぇ緊張したのに」
...私も緊張したよ。色んなことを伝えたくて、その背中に手を回した。
すると、驚いたように彼の体は一瞬動いた。その手から私の心は、彼に伝わってしまったようで。
抱きしめる手を緩めて、私の顔を見た。柔らかく、優しく。だけど、少し挑戦的な顔で
「ねぇ」
「...」
「...俺と付き合う？」
彼は私を落とした。
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さんご(プロフ) - しおりさん» はじめまして、しおりさん。コメントありがとうございます。そんなこと言って頂けるなんて、もう嬉しい限りです(笑)こちらこそありがとうございます(´ω｀) (2019年9月21日 12時) (
レス) id: e1b1cf4c3f (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - はじめまして。どのお話も優しくて、心が温かくなりました。さんごさんの丁寧な言葉の紡ぎかた大好きです。多分何度も読みに来ちゃうやつだ(^^)ありがとうございます。 (2019年9月21日 7時) (レス) id: 072c120661 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんご | 作成日時：2019年8月15日 16時
