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赤を全力で勧めてくる翔くんに、黄色は？緑は？白は？と、違う色を訊いてみる私。
結局5種類全部巻いて。それでもやっぱり翔くんは、赤が似合うと言ってきた。
「ハハッ、なんでそんなに赤嫌うの？」
「いや、嫌いって訳じゃないんだけど...(笑)」
似合うのになー、なんてひとりごとのように。
赤を選びたくなかったのは。
また私の首元のマフラーを触ってくる翔くんと、距離感を保ちたかっただけ。
こうしてる今も、なんでもないような顔して、息を止めてる。
男友達って、どんな距離感だっけ...。
「んー、じゃあ...買う！」
「おっ！...って俺、店員みたいじゃん(笑)」
「テレビショッピングでもやっちゃう？」
「やっちゃう？」
やらねーわ、ってくしゃくしゃに笑う翔くんに、また胸が鳴り始めた。勘違いだ、ともう自分で自分を誤魔化せない気がする。
─── “翔くんは？好きな人とかいるの？“ “いるよ”
お会計で考え事してたら、小銭を落として翔くんに何してんだよって笑われた。
そんなこと考えて小銭落とした自分にまたビックリする。なんで私って、好きな相手がいる人を好きになるんだろう。
「いい買い物できたわ」
「私も」
「ありがとね」
「こちらこそ！」
冬だから日が落ちるのも早くなってて。もう空がオレンジ色になりかけてる。
風もまた冷たくなって、肌寒くなった。
「おしるこ飲みたい寒さ」
「コンポタじゃない？」
「あれさ、コーンが出てこなくてイライラすんの」
「アハッ！めっちゃわかる」
まだ帰りたくなくて、駅まで歩く時間が長く続いてほしいと祈った。
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乗換駅が私の最寄り駅だから、一緒に電車を降りたら、もう暗いから送ってくよ。と言う翔くん。
...大学の帰りはそんなこと言わないのに。今日より遅い時間に帰ることも多いのに。
「いつも『送る』なんて言わないのに、どうしたの？」
「...なんとなく？その日の気分？(笑)」
改札を出ると、すごい風。セットした髪がボサボサになりそう。
「.....そういえば、好きな人とはどうなったの？」
「えっ？」
そう彼に訊かれて、返す言葉が思い浮かばなかった。だって、今日1日その人のことを考えることは無かったし...。
「翔くんは？好きな人とはどんな感じ？」
「質問返しかぁ(笑)」
本当は訊きたくなかったこんな事。咄嗟に動いた口を懲らしめてやりたい。
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さんご(プロフ) - しおりさん» はじめまして、しおりさん。コメントありがとうございます。そんなこと言って頂けるなんて、もう嬉しい限りです(笑)こちらこそありがとうございます(´ω｀) (2019年9月21日 12時) (
レス) id: e1b1cf4c3f (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - はじめまして。どのお話も優しくて、心が温かくなりました。さんごさんの丁寧な言葉の紡ぎかた大好きです。多分何度も読みに来ちゃうやつだ(^^)ありがとうございます。 (2019年9月21日 7時) (レス) id: 072c120661 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんご | 作成日時：2019年8月15日 16時
