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数日後。また図書館に行った。
湿気が多くなってきた時期に、図書館のガンガンに効いたクーラーが心地いい。
でも長時間いると、寒くなるのよねこれ。
今日も特に用事はなく、大学の資料探しとかでも何でもないから、適当に図書館をブラブラした。
久しぶりに、児童書の前に来て、懐かしい本を手に取ってみる。
あれ、こんな話だったっけ。え、ラストこんなに切なかったっけ。わぁ、こんなとこでのんびり過ごしたいな……。とか。
そんなことが顔に全部出てたのかもしれない。
いきなり小さな女の子に「おねーちゃん、さっきから顔であそんでるの？」って言われた。顔で遊んでるって何だ。
「それ、おもしろいよね」
「うん、面白いね」
「おねーちゃんも好きなの？」
「うん、好きだったかな」
そのシリーズが、今はこんなに新しいの出てるんだよってその子が教えてくれた。
児童書を読まなくなって、どれくらい経つんだろ。小学校までは、学校の図書館にあったけど、中学生からめっきり読まなくなった気がする。
「俺もその本好きだったなぁ」
本棚の本を見ながら話してた私たちの背後から、少し明るい声が聞こえてきた。
「あっ！おにーちゃん！」
その子がすごく喜んで見てる方を見ると
「こんにちは」と微笑むあの人がいた。
「…こんにちは」
「さやちゃん、久しぶりだね？」
「さやちゃん…っていうの？」
その子に訊くと、うん！って元気な返事。
二人の会話を聞いてると、初めましてじゃなさそう。
「さやちゃん、このお姉ちゃんと仲良しなの？」
「ううん、今日はじめて会ったの」
ねー？って首を傾げてニコニコしてるさやちゃん。でももう仲良しになったよ！って笑ってる。
「初めまして、じゃないですよね？」
その人が、さやちゃんのように首を傾げて私に訊いてくる。
「あ、はい…この間はありがとうございました」
さやちゃんや私に笑いかけてくれるその顔は、いつも本を読んでるあの表情とは違いすぎて頭が追いつかない。
「よく、この図書館にいる子だよね？」
全力で頷いた。一言しか話したことなかったのに、「よく」ってことは知ってくれてたんだ…。
「お兄さんも、よくここにいますよね？」
「うん。俺、ここで読み聞かせとかしてんの」
ヘラッと笑ったその人は、さやちゃんと「ねー」と笑い合った。
いつもの大人っぽい雰囲気とはまるで違ってて。子供に好かれるのが一目で分かるくらい、笑顔が優しさで溢れてるような人だった。
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さんご(プロフ) - しおりさん» はじめまして、しおりさん。コメントありがとうございます。そんなこと言って頂けるなんて、もう嬉しい限りです(笑)こちらこそありがとうございます(´ω｀) (2019年9月21日 12時) (
レス) id: e1b1cf4c3f (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - はじめまして。どのお話も優しくて、心が温かくなりました。さんごさんの丁寧な言葉の紡ぎかた大好きです。多分何度も読みに来ちゃうやつだ(^^)ありがとうございます。 (2019年9月21日 7時) (レス) id: 072c120661 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんご | 作成日時：2019年8月15日 16時
