【wrwrd】無能に扮して (ページ48)

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暑い暑い夏の日。我々幹部は招集令が出され、会議室に集まった。ぞんざいどころではない扱いの私も、一応まだ幹部として席は置かれているため参加した。入室と同時に集まる冷ややかな視線に対するスルースキルは着実にレベルアップしている気がする。知らんけど。

グ「兵士を増やすため来年の春、訓練学校の採用枠を1.5倍に増やしたい。また可及的速やかに増加させるためとある提案をしたい」

そう始めたグルさんの説明を聞きながら、配られた資料をめくる。提案かぁ、なんやろ。どうしよケーキ作りをする部隊の結成とかやったら笑い死ぬ。
説明を聞きながら読み進めると、ほうほうこれはなかなか面白そう。
内容はこうだった。

幹部が半年間、出張という形で訓練兵の授業をしに行く。基本１，２週間に各幹部一人一課目の授業を持つ。そして半年後、部隊の配属先を考慮した生徒の希望をとって誰から訓練を受けるか決める。半年間自分が希望する幹部の指導の下、訓練ができるのだ。

コ「へぇ、おもろそうやん」

鬱「な。なかなかえらいこと思いつくわ」

反応を見る限りエミさんと三強は知っていたようだ。提案ではなくほぼ確定事項、ということか。

グ「最終的に各幹部の訓練成果を発表してもらうつもりだ。意識向上につながるかと考えてだ」

…なんかにっこにこですけど総統閣下？本当に理由はそれだけですか？

グ「あと単純に見たい！！」

出ちゃったよ本音。周りもおんなじことを思ったのか、苦笑いを浮かべている。でもこんな面白そうなこと反対する奴なんてこの組織にはいないと思う。幹部は戦争狂戦闘狂の精鋭ぞろいなのだ。自分たちの持つ戦略を見せつける場なんて訓練の一環とはいえ、心は踊るし面白い見せ物だ。
アリスも親衛隊()に囲まれニコニコして賛成の意を示している。

新しい試み…。楽しそうやな。
…グルさんがこれを考えたの、ほんまに理由はあれだけなのか…？

ト「異論ナシ、やな」

オ「まぁ結果は見えてた」

二人は苦笑い。
決まりだ。

この軍にいたいと思う理由がまた一つ増えてしまった。