【wrwrd】無能に扮して (ページ46)

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ロ「あいつなんやねん。カメラに映らんところで卑怯な真似しやがって」

どうやらアリスの非行は狙ったのかはたまた偶然か、カメラの死角で行われたため証拠を抑えることができなかったようだ。まぁ映っていたらロボロが暴れだしそうではあるのでカメラに映っていなかったことが悪かったかと言われるとなんとも言えない。

怖い顔をしている皆。この空間はなかなか居心地が悪い。はてどうしたものかと考えていたら、どこぞの海のように広い心をお持ちのしんぺいさんが口を開いた。

し「エーミールの言う通り、なかなかの怪我を負わされたものの命にも関わるような重傷には至らなかった。不幸中の幸いやね。確実にアリスからの嫌がらせはエスカレートしとる。せやけど、今はそっとしておくべきかもしれない」

しんぺいさんはまだことを荒立てない方がいいと考えているようだ。私もこの証拠不十分な状態で何か言おうものならほかの幹部に何を言われるか分かったものではない。グルさんも同意した。

エ「アリスさんより私が心配なのはゾムさんやコネシマさん、シャオロンさんですかね…」

確かに。この前なんて航海から帰ってきてもなお治りきらないほどの怪我を負わされた。私もあいつらに対しては危機感を抱いている。

グ「そうだな。荒立てはしないように。且つAへの被害を最小限に抑えられるようもっと考えなければな」

普段は戦争大好きぐるっぺんくん(５)のなかなか怖い総統閣下が神妙な顔をしてそういった。今のグルさんは私のせいで幹部からの信頼を少しずつ失っていってる。ヘタに動けば統率がとれないほどになるかもしれない。あのカリスマ性のかたまりのような男が、だ。たった一人の『無能』のせいで。

私一人にこんなことしている場合じゃないだろ。
そう思ったが、そんな野暮なこと言わない。最悪私から出ていくだけだ。

し「とりあえず、ずっとここにいても変に思われるやろうし、仕事もみんなあるやろ。とりあえず解散。Aは昨日の怪我の具合を診るから残って」

しんぺいさんの言葉で各々仕事に戻っていく。彼が言い出さなければあのまま話は脱線し三時間くらいは余裕でいたのではないかと思う。暇人か。

皆が座るためにベッド脇から移動させていた椅子を元に戻し、しんぺいさんと向かい合わせになるよう椅子の配置を変えた。昨日の夜に見た光景に元通り。

くだらない話をしながら包帯を取り換えたり額を診てもらったりした。