【wrwrd】無能に扮して (ページ35)

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あの無能は、グルッペンが訓練学校から直接連れてきた人間だった。
年はグルッペンと同じ。確かロボロともか。

綺麗な女だった。きっとあいつは、自分の性別を、容姿を利用してたんや。
今になるとそう思えて仕方がない。
　
あいつは書類のガバが酷くて、何度叱ったかわからない。それは今も変わらない。
成長してないのだあいつは。つまり俺の話を聞いていなかったことになる。

俺はいろいろ悩みながらも無能に仕事を教えたり、一緒に会話をしたりと普通に生活していた。

まぁアイツは戦闘だけはできるのは知っていたから、そんな邪険にすることはなかった。それはほかのやつも一緒だったんだろう。

その翌年の春。
その年は新しく幹部が就任した。
入ってきたのは、Aと同じ女のアリス・フェイルズだった。

彼女は書類もちゃんとできるし、戦闘もそこそこ強く、性格もよかった。そのため彼女はどんどん周りに馴染んでいった。
その代わりにAはどんどん周りから浮いていき、次第に俺もAとは事務的な話以外で会話することが減っていった。

それでもまだ、そこまで酷いものじゃなかった。ちょっと会話が減ったくらいだった。

それが変わったのは、あの時...ある国と戦争をしていた時だった。

ト「シャオロンとコネシマが、重症....？」

二人とも足や腕に銃弾が当たり、出血多量でしんぺい神のところへ運ばれた。
シャオロンに当たった銃弾は貫通していたが、コネシマに当たったうちの一つは体内に残ったままで、それを鑑定した結果、うちで開発していたスナイパー銃に使うものと一致していた。

当時は今より、銃そのものが普及しておらず、ゾムの偵察や諜報員からの情報では、銃はほとんど無いらしかった。

そしてなにより、銃の撃たれた方向。それが自陣から撃たれているものだった。

それにより、真っ先に疑われたのがAだった。

シャオロンもコネシマも、Aのいる地点に近いところで撃たれたということと、そしてなにより、アリスからの証言、そしてその銃はAしか持っていなかったという状況があいつへの疑心を加速させるものとなった。

ア「Aさんで間違いありません...。Aさんたちの方へ合流しようとして近づいた時に、コネシマさんたちの方へ銃を向けているのを見たんです」

俺たちはAがスパイであるに違いない、そう確信していた。だからグルさんがあいつを処罰すると疑わなかった。Aは否定をしなかったから。

なのに。