【wrwrd】無能に扮して (ページ31)

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続いて船の名前が続いたがまるで聞き覚えのないものだった。

《メーデーメーデー、こちらはカイエンマルカイエンマル..ｗちょっとなにわら...仕方な....だからって.....

えー、現在地は_______》

....さっきから笑い声が聞こえるんだけど悪戯？？悪戯なん？？通報したろかコラ。

「悪戯でしょうか....」

そうやな無視しようか、なんて言えるはずもなく。

「いや、わからないです。現場は近いですからとりあえず向かいましょう。本当に遭難だったら危険ですから」

と答えた私は本当にいいこだと思う。誉めて。

海賊が遭難に見せかけ襲うといった被害も少なからずあるため武装だけはするよう伝えて、私たちはその遭難者の救助へ向かった。

いざ現場へ着くと、たしかにそこには一隻の船が錨泊していた。
が、中からはここからでも聞こえてくるほど大きな笑い声が。

....えほんまにいたずらと違うよな。

船を真横に止めると、私は甲板に出て船へ声を掛けた。

｢こんにちはー！！救助に来ましたー！！誰かいらっしゃいますかー！？｣

大声で声をかければさっきまで聞こえてきていた大きな笑い声はぴたりとやみ、中から二人の男が出てきた。一人は黒髪で短髪、もう一人は赤みがかった茶色の長髪を一つに結っている。二人とも、倭国でみられる袴姿であった。
黒髪の方は緑で茶髪の方は赤という派手な色だったが、それを普通に着こなしていて、違和感はない。

緑「いやーすみません！！救助に来てくれて本当、助かりました！！」

緑の方はにこにこと愛想のいい笑みを浮かべて、こちらへ手を振ってきた。私も振り返しつつ赤い袴を着た男の方へ視線を移す。...笑みを浮かべてはいるが目は合わない。まぁええんやけど。

海賊ではなさそうなので、私は部下に錨を下ろすように言うと小型のゴムボートをの準備を始める。
部下の一人と一緒にそれに乗って、向こうの船へとさらに近づいた。

そのまま彼らの船に乗り込んで私たちは事情を聴くことにした。ゴムボートは彼らの船に結びつけてあるから流される心配はない。

赤「えぇとですねぇ、実は＿＿＿」

赤い袴を着た男の話によれば、彼らは海賊に襲われ荷物や自分たち自身は守り切ったものの、船の一部が壊れてしまい船が動かなくなったらしい。災難だ。

「お名前や目的地など教えていただけますか？こちらの船で曳航しましょう」

この船で、彼らの船を曳いていこう、と提案をすると、彼らの顔には安堵の色が浮かんだ。