【wrwrd】無能に扮して (ページ15)

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その日の夜。
他の従者に聞いて、今日会った二人の部屋へ訪れた。

丁度寝る直前だったのか、予想通り部屋に二人は居た。

ア｢ルイーズさん..!？どうしてここに...｣

｢少し、気になることがありまして｣

アイルは困惑しつつも、椅子を置いてくれた。
お礼を言って座らせてもらうと、彼女達は再び私に質問した。

ネ｢私たちに聞きたいことってなんですか...？｣

｢陛下についてです｣

二人はハッとした顔をして、緊張した面持ちで話の続きを待っているようだった。

｢陛下はいつもあんな感じなんですか。いつからです？｣

ネ｢他の人から聞いた話だと、ずっと昔かららしいです...｣

ア｢いつもそうですよ。もっと酷いときは...｣

無意識なのか、腕をさするアイルに嫌な想像をしてしまう。今日見た、体の痣が頭を過った。

｢率直に聞きます。国王のことをどう思っていますか｣

予想外の質問だったのか、驚いているようだ。

二人は中々口を開かなかった。それも仕方がないと思った。
普通会って何日もしていない相手にそんなこと言いづらいだろう。ましてや国王のお気に入りが突然そんなことを聞きにきたら、勘繰るのは普通だ。

言うのは躊躇ったが、身分を明かすしかない。
二人から情報が漏れてしまったら、私が捕まる前に終わらせてしまえばいい話だ。
私は声を落としてつづけた。

｢...私はこの国の民から依頼されて、国王を暗殺するためにこの城に潜っている者です｣

さっきよりも驚いている二人にさらに続けた。

｢私は、彼をころす前にちゃんとした情報が欲しい。貴女達の話を聞きたいんです｣

彼女達は恐る恐る口を開いた。

ア｢私は東の国に住んでいました。...それが突然、誘拐されてしまったのです。ドレイ商人に｣

ネ｢私は、ここの隣国であるドイル帝国の村で住んでいました。私もアイルさんと同じ商人に、二年前誘拐されてしまいました。｣

故郷を思い出しているのか、家族を思い出しているのか。彼女たちは寂しそうだった。

ア｢１年前、そのドレイ商から私たちを買ったのがここの国王でした｣

成る程、そういう経緯でこの国に来たのか。二人一緒に売られてしまったのはきっと、二人とも顔が良かったことと同じ位の年齢だったことが理由だろう。

でもおかしい。拐われてから約１年もドレイ商が彼女達を手元に置くか？若い方が高値がつく場合が多いはず。

いやまて。"メイドとして"売ろうとしていたとしたら...？

私は二人へ質問を続けた。