【wrwrd】無能に扮して (ページ12)

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言いたいことを言い終えた彼女の顔はスッキリしたようなものじゃなく、不安で不安でたまらないといった顔だ。

｢アイル、ネル。私の癖で、私は自分でなんでもやってしまおうとしてしまいます。そう教育もされましたし、そうじゃなきゃ生きられませんでした｣

一人で生きなくてはならなかったその昔の話を思い出す。誰も信用出来なくて、誰にも頼れなかった。

｢でも、それはもう昔の話。今は皆が居ます...。私のせいで不安にさせてすみません。私は貴女達が必要ないなんて思ったこと無いですよ｣

チラリと二人を見ればまだ不安を拭いきれていないためなのか、それとも安心からか、目に涙を溜めていた。

｢貴女達には私がどういう状態なのかどこまで把握しているのか分かりませんが、とにかく今は、この軍のなかで信用できる人間が一人でも多く必要なんです。
貴女質は数少ないその内の二人。何度助けられたか知れません｣

ネルはもう堪えきれず泣いてしまっている。

ネ｢よ、よがっだぁ....!｣

｢ネル!？｣

号泣しはじめたネルに焦るが、アイルまで泣き始めてしまったことにも驚いてもっと慌ててしまう。
取り合えず
ハンカチを二人に渡して、水の入ったコップをテーブルに置いておく。

ア｢申し訳ｯ...ありませ、安心してしまって...｣

言葉を詰まらせつつも落ち着いていくアイルに少し安心して、まだ号泣しているネルの肩をさする。

いくらか経って、ようやくネルは落ち着いて、今は水を飲んでいた。

｢これからは色々頼んでしまうけど、大変になったらすぐ言ってくださいね｣

ネ｢任せてください！｣

これだけ元気そうなら大丈夫だろう。
笑顔を取り戻したネルを見てそう思った。

｢でも、総統やロボロのとこにいるメイドさんには今までも変わらないようにします。彼女達の仕事は私の世話ではありませんから｣

そう言えば、彼女達は渋々ながらも了解してくれた。なんで渋々？

洗面台で顔を洗ってくるように言えば、素直にそれに従って洗面所へ向かう二人。

...ここに置いてある食器はどうすればええんや。

二人に預けてみようか...。
ついさっきその約束はしたが、こんな雑用みたいなことをさせてしまって良いのだろうか...いやでもこれは彼女達の仕事....。

悩んでいるうちに二人は戻ってきた。目元は赤かったがそれでも大分マシになったようだ。

ええい、ままよ！！と二人に頼んでみれば、嬉しそうな顔をしてティーセットやお皿をお盆にのせた。