夢主さん、ようこそ万国へ (ページ5)

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餅との日々5 ページ5

カタクリさんに抱っこされ、再度長い廊下を進む。

『カタクリさん。ペロスお兄さん達に報告しなくても良いのですか？』

「あぁ、どうせこうなる事をわかっているだろうからな、必要ない」

カタクリさん達家族って本当に信頼し合ってるんだなぁ。

『それでは今はどこに向かっているのです？』

「俺の部屋だ」

つい…固まってしまった。
カタクリさんのお部屋！？ど、どうして、もうそこに！？

「この世界について、そしてこれからのAの暮らし方について、話さねばならぬ事は山程ある」

『ふ、ふぁい』

ぬぁ、緊張で変な返事になった！！

「フッ…何も心配するな、掃除などはちゃんと完璧にしてある」

カタクリさんの部屋の清潔感なんてまっっったく気にしていなかったですけどね？
変な所で鈍感発揮するなぁ…全く。
呆れていると部屋に着いたらしい。
大きな扉を開けて入る。
これがカタクリさんの部屋…。

えぇ、想像していた通りですよ。
無茶苦茶広くて無茶苦茶綺麗。
カタクリさんらしい、少しだけ殺風景な部屋。

部屋の扉が閉まった瞬間に名前を呼ばれ、上を向くとモフモフを外したカタクリさんに優しく触れるだけのキスをされた。

『カタクリさん…』

「ずっと…お前を想わない日はなかった」

『また、お前って…ん…』

「A…」

甘く名前を呼ばれ何度も唇を奪われる。
初めこそ優しいキスだったのだが何度も唇を重ねるうちに次第に深いものとなってゆく。

『んん…カタ…クリさ…』

抱っこされ、抱き締められながらの状態の為この甘い雰囲気から逃げるに逃げられない。
そっか、先程から感じていた違和感の正体はこれだ。
私の世界でのカタクリさんに比べると甘いのだ。
いや、私の世界でも十分甘かったのだけれど…甘いの種類が違う。
今までの大人な対応で甘やかしてくれていたカタクリさんと違って、こう…ちゃんと愛されているという実感のある甘さをカタクリさんから感じたのだ。

『ん…ふ…ぁ…』

キスがどんどん激しくなり、頭が蕩けてしまいそうだ…。

コンコンコン。

「『っっ！！』」

扉をノックする音で２人共我に返る。
カタクリさんが一呼吸して返事をした。

「ペロス兄か…」

「あぁ、やはり部屋にいたな」

ペロスお兄さん…。
何故かホッと胸を撫で下ろした。
カタクリさんが私をふかふかのソファへと座らせてモフモフを付け直し、扉を開けに行く。