夢主さん、ようこそ万国へ (ページ38)

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餅との日々38 ページ38

カタクリさんの言葉に返事をせず、ぐりぐりとおでこを胸板に押し付けた。

「A、どうした？お前らしくもない」

『お前って言わないで下さい』

不貞腐れた声で返事をした。
カタクリさんが私を抱っこしたままソファに座る。

『自分でもわかってるんですよ』

「何の事だ？」

『カタクリさんならもっと素敵な女性を選ぶ事が出来るって事くらい』

「そんな事でクラッカーに噛み付いたのか」

『そんな事じゃないですもん。クラッカーさんの言う通り、私、平々凡々な女ですもん』

カタクリさんの服を握ると私の後頭部に手をやり、軽く抱き締めてくれる。

「俺の惚れた女は平々凡々とは程遠いぞ？違う世界から来たという怪しい人間を家に置き、その人間の為に自分さえも犠牲にする」

……………。

「気が強いくせにすぐ泣く。そのくせ自分の芯は折らない真っ直ぐな心の強い女だ」

…………。

「そんな女、俺はAしか知らねぇ」

カタクリさんが珍しく長く喋ったと思ったら…全力の告白を受けてしまった。

『カタクリさん、ズルいですよ。そんなカッコ良い事言われたら惚れ直しちゃいます』

上を向くと「事実だからな」と軽くキスされた。
だから…ズルいって。

「クラッカーも口は悪いかもしれないが、あれはあれで他の家族から慕われてはいるのだ」

『ダイフクさんよりも歪んだ性格の人がいるだなんでビックリですよ』

「クラッカーは戦闘も出来れば、日常的なサポートもしている優秀な弟だ」

そういえば…ペロスお兄さんが壁や屋根はクラッカーさんの得意分野って言ってたような。

『でも私はクラッカーさん、好きになれません！』

プイッとそっぽを向くとカタクリさんに苦笑いされた。

「好きになるのは俺だけでいい」

ぐっ！！カタクリさんが甘い言葉ばかりを私に吐いてくる！
はぁ…何でこんな完璧な人を好きになってしまったのか。
カタクリさんに私は似つかわしくないのかもしれないけど…カタクリさんが私でいいと言ってくれるなら何も問題ないんだ、堂々としていよう。