夢主さん、ようこそ万国へ (ページ31)

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餅との日々31 ページ31

もう…夜か…。
結局、カタクリさんは帰ってこない。
私、完全に嫌われちゃったのかな…。
カタクリさんのベッドに何とかよじ登って座って待つ。

しばらく待っていると…扉が開いた。
っっっ！！！
カタクリさん！？

扉が開き見えた顔…カタクリさんだ…。
帰って来てくれたんだ…。
抑えきれない衝動。涙が一気に溢れ、ベッドから飛び降りてカタクリさんへと駆け寄る。

『カタクリさんっ！！！』

掌を目の前に出される。

「近寄るな」

え…？カタクリさん…？
私の方に顔を向ける事なく椅子に座る。
思いも寄らないカタクリさんの冷たい言葉で過呼吸になりそうなくらい呼吸が乱れる。

「俺に話があるのだろう？」

『あ…』

何て冷たい声…言葉が出てこない。

「話がないのならもういいか？」

椅子から立ち上がる。
嫌だ…嫌だ！！！！
カタクリさんへと駆け寄り、近寄るなという言葉を無視して足にしがみついた。

『カタクリさ…』

言葉が出ない。ちゃんと伝えるんだって…思っていたはずなのに。
カタクリさんは動く事なく、何も喋る事もなく、その場に立っているだけ。
伝えるんだ…伝えなきゃだめだ！！
このままカタクリさんを傷付けたままだなんて嫌だ！！
しがみついていた足から離れ、カタクリさんを見上げる。

『カタクリさん。話を聞いて下さい』

「その為に来た」

『カタクリさん…ごめんなさい』

「謝罪されるような事は何もない」

『いいえ！酷い態度で貴方を傷付けました！！その謝罪です！！』

カタクリさんは無表情のまま私を見下ろす。

『私、怖かったんです。人が人を殺す、そんな事が当たり前に目の前で起こった事が。そしてそれをカタクリさんがしたという事が』

自分の気持ちをゆっくり伝えて行く。
カタクリさんはちゃんと聞いてくれているのだから。

『でも私が怖いなんて思う事、失礼なんですよね。強い信念を持って命をかけているカタクリさんに対して、私が感じた怖さなんてたかが知れてるのに…カタクリさん、もう一度ちゃんと謝らせて下さい』

カタクリさんの瞳を見据え直す。

『カタクリさんの事を考えもせず、自分の事ばかり考え、貴方を傷付けてしまった。本当にごめんなさい』

頭を下げてしっかりと謝罪をした。
カタクリさんに私の気持ちは伝わっただろうか…。