夢主さん、ようこそ万国へ (ページ21)

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餅との日々21 ページ21

突如として鳴り響いたお腹の音により愛しい抱擁の時間は終わりを告げた。
せっかくの良いムードだったのに…！

『ずみまぜん』

悲しいかなそのムードを打ち壊したお腹の音の犯人は私なのだ。
謝る私の頬にキスをして、ソファから立ち上がり電伝虫の方へと歩いて行く。

「俺も腹が減った。昼食にしよう」

キスされた頬を摩りながらカタクリさんを見るとその顔はもう暗さのないいつものカタクリさんだった。
昼食も部屋に運んでくれるのか、楽しみ！！
でもあと3日はカタクリさんに甘えての食事タイムになるんだな。
自立した生活…はペロスお兄さんが部屋の改築をしてくれたら開始とします！

昨日の夕食と同じくカタクリさんに全力で甘えてご飯を食べ終える。
…カタクリさんを甘やかすはずなのにもう既に立場逆転してるじゃないか！！

「メリエンダの時間まで城の中を少し案内しよう」

『お城探検！？楽しみです！！」

「探検と呼べるかどうかはわからんが…」

抱っこされて部屋を出る。
もうこの抱っこが当たり前になってきてしまっている自分が怖い。

「Aは本が好きだっただろう？この城にも図書館がある」

まだカタクリさんのお部屋の本も全然読めていないが、図書館という響きだけで心躍る。

『行ってみたいです！』

「だろうと思って向かっている」

こっちの図書館はどんな雰囲気なんだろう…わくわくが止まらない。
カタクリさんが扉の前で止まりノックをする。
ここが図書館…って何でノック？

「今、手が離せねぇんだ！勝手に入ってきてくれ！」

男の人の声？
ギィ…と扉が開く。
部屋一面、床から天井までびっしりと本で埋め尽くすされている。凄い量…。
その中でメルヘンな空飛ぶ本に乗って何やら作業をしているこれまた奇抜な後ろ姿が見えた。

「モンドール。勝手に見させてもらうぞ」

モンドール…あの空飛ぶ本に乗っている人の名前か。

「あぁ、好きにしてくれ！…ってカタクリの兄貴！？」

あ、本から落ちた。

「いてて…驚いたぜ！兄貴がここに来るなんてどうしたってんだ！？」

「ここに用事があるのは俺じゃない」

『こ、こんにちわ！』

「お、おう。って、ん？その女がペロス兄の言ってた異世界人か？」

何か色んな呼び方されるな…私。

「Aだ。本が好きでな、少し見せてもらうぞ」

「本好きに悪い奴はいねぇ！好きなだけ読んでいってくれ！」

モンドールさんは顔に似合わずオーブンさん寄りの快活さを持っているらしい。