餅との日々19 ページ19
ペロスお兄さんの部屋から出て、廊下を歩く。
『カタクリさん、クラッカーさんもご兄弟さんなんです？』
「弟だ」
『カタクリさんのご兄弟さんが多過ぎて覚えきれるか不安になってきました』
「別に覚える必要はない」
『そんな訳にも…』
そんなやり取りをしているとどこからか声をかけられた。
「カタクリお兄ちゃん、その女は誰だい？」
「ブリュレか」
どこから声がしてるんだろう？辺りを見回しても誰もいないのに…。
「ブリュレ、鏡から1度出てこい」
鏡？？？
目の前にある大きな鏡。
これが何だというのかって…えぇぇぇ！？鏡から人が出てきた！？
「ウィッウィッウィッ」
「A、妹のブリュレだ」
あ、妹さんか！
…プリンと違ってブリュレさんは身長が高いな。
「Aって確かお兄ちゃんが行方不明になっていた時に世話になったって言ってた娘よね？」
「そうだ、訳あってこちらに来た」
「ふーん…」
ジーっと顔を見つめられる。
う…ブリュレさん、魔女みたいでちょっとだけ怖い。
「ウィッウィッウィッ！お兄ちゃんを助けてくれて有難うね！アンタは万国の救世主だよ！」
あれ？見かけによらず、凄く良い人？
人は見かけで判断しちゃダメね…ちゃんと覚えておこう。
『そんな大した事してませんよ！』
「ウィッウィッウィッ。アンタはそう思っているかもしれないが、カタクリお兄ちゃんがいなければこの国は成り立たないんだよ！」
「ブリュレ、よせ」
え？カタクリさんってそんなに凄い人なの？
「そう…カタクリお兄ちゃんはいつも気高く冷静で強く全てが完璧な人間だからね！！」
う、うん！！確かにわかる！！
「ブリュレ、もういい。ミロワールドに戻れ」
「ウィッウィッウィッ！それじゃあね！」
ブリュレさんは鏡の中へと消えて行った。
『ブリュレさんも能力者ですか？』
「ミラミラの実の能力者だ」
ミラミラ…成る程ミラーで鏡ね。
食べ物の能力ばかりじゃなかった。
『それにしても、ブリュレさんはカタクリさんをとても尊敬しているんですね』
「……まぁな」
目を伏せて少しだけ暗い顔をするカタクリさん。
どうしたんだろう？ブリュレさんの言ってた事、何も間違ってなかったのに…。
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作者名：三月兎 | 作成日時：2020年8月8日 18時
