餅と同居47 ページ48
『聞かせて下さい。もう覚悟は決めました』
カタクリさんの瞳を見据える。
これ以上、引き伸ばさないでおこう…別れが辛くなるだけだ。
カタクリさんの太ももから移動しようとしたのだけれどカタクリさんが私を抱き締めて離さなかった。
「A……」
カタクリさんもどうやら言葉に詰まっているらしい。
痛いくらいにわかる。怖いんだ。自分の本心を話す事が。
カタクリさんの背中に手を回して服を握る。
「俺は…帰らなくてはならない。元の世界でやるべき事がまだまだ沢山ある」
私を抱き締めている腕が震えている。
「だが…俺が帰ったらまたお前は1人になってしまう。孤独に泣いたお前がまた辛い思いをするのは…嫌なんだ」
またお前って…ま、いっか。
「それに…俺自身Aと離れたくないと思っている事も事実。愛しているのだと…そんな薄っぺらな言葉で片付く気持ちではないのかもしれない。だが、他に言葉が見つからない」
『え…？』
カタクリさんが私の身体を自分から少し離し、私の頬を撫でる。
「愛している…これが俺の本心だ」
こんな事…残酷過ぎるよ。
愛し合っている…それがわかった時には別れなくてはならないだなんて。
カタクリさんが私に軽くキスをする。
私もカタクリさんにキスを返す。
涙が流れる。
幸せなはずのこの瞬間。
…でもきっともうすぐ貴方は消えてしまう。
どちらからでもなく唇を交わし合った時だった。
ベランダ越しに聞こえた雷の落ちる音。
「時間…だな」
『……そうですね』
カタクリさんの太ももの上から移動し、ベランダを見ると黒いモヤがかかっていた。
アレが…きっと…。
あそこに私も行けばカタクリさんと一緒に行けるのかな…。
「A。その考えはやめておけ。何があるか…どうなるのかは…わからないんだ」
考えていた事を当てられてしまった。
だって…。
俯いていたらカタクリさんの手が私の頭を撫でる。
そうだよね。これから先、落ち込む事があってももうカタクリさんが頭を撫でてくれる事はなくなるんだからしっかりしなきゃ。
俯いていた顔を上げるとまた優しくキスをされた。
「お前は優しく、強い女…そして俺が初めて惚れた女だ。自信を持て」
今までで1番優しい笑顔。
つられて私も笑顔になる。
『っっ！もう！私はお前じゃありません！』
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三月兎(プロフ) - 天然水さん» こちらこそお読み頂けただけでなく嬉しいコメントまで頂き有難うございます！！本当に励みとなるばかりです(*´ω`*)！ (2021年2月10日 7時) (
レス) id: 5bf5ba8679 (このIDを非表示/違反報告)
天然水(プロフ) - ものすごく感動して涙が止まりませんでした、、泣素敵なお話を書いてくださり本当に有難う御座います！ (2021年2月10日 0時) (レス) id: 5091cdfe04 (このIDを非表示/違反報告)
三月兎(プロフ) - 月ノ猫様 コメント有難うございます！！コメントを頂けて嬉しい限りでございます(*´ω`*)！すぐ様訂正もさせて頂きました！ご指摘下さり有難う御座います！！ (2020年8月4日 21時) (レス) id: 97f08caf1f (このIDを非表示/違反報告)
月ノ猫(プロフ) - ほのぼのしてて読む度に和まさせて頂いています！ はじめてコメントを送っていきなりですみません……………同居20の最後の方での………カタクリのセリフの｢｣が、『』になっています。 (2020年8月4日 18時) (レス) id: 237c738632 (このIDを非表示/違反報告)
三月兎(プロフ) - 雪見もち様 コメント有難うございます！！恐れ多い限りの嬉しいコメを頂けて励みとなります(´；ω；｀)！これからも精進して参りますのでどうぞよろしくお願い致します！！ (2020年8月3日 16時) (レス) id: 97f08caf1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三月兎 | 作成日時：2020年7月27日 2時
