餅と同居43 ページ44
何…これ…。
カタクリさんの呟いた言葉の部分は黒く塗りつぶされていた。
なのに何故読めるのか…黒く塗り潰されているにも関わらずその文字だけが光り輝いて浮かび上がっていたから。
「己の心を受け入れた時、道は開かれる」
その言葉を口にした瞬間に頭が痛くなる。
痛む頭を抑えて目を閉じると何かが見える。
これは…何？
大きなケーキ？違う。お城なの？草木が喋って歌ってる…まるで御伽の世界のような場所。ここは一体…。
目を開けるとそこはいつもの図書館で…。
まさか…あの場所がカタクリさんの…？
急いでカタクリさんの所へ行かなくちゃ！！
家路までの道のりでカタクリさんを見つけられなかったからもう家にいるのだろう。
玄関を開け、部屋に入るとカタクリさんは珍しくベランダにいた。
『はぁ、はぁ…カタクリさん…』
「見たのだろう？」
『あの場所がカタクリさんの元いた世界…？』
「そうだ」
『私にはその風景を見る事しか出来ませんでした。カタクリさんには帰る方法がわかったんですか？』
私の問いにカタクリさんは答えてくれない。
柵にもたれかかって私から目線を逸らす。
あぁ…わかったんですね。
『カタクリさん！帰れるなら良かったじゃないですか！！もう！何でそんなに怖い顔をしてるんですか！今日はお祝いでもしましょう！！』
思ってもいない台詞を吐く事が苦しい。
帰らないで。まだ側にいて。
本音を伝えてしまえばカタクリさんを困らせるだけ。
だからせめて明るく見送ってあげたいんだ。
自分は大丈夫だからと。心配しないでと。
「…お前がまたそうなるからだ」
『ま、またお前って…』
「お前はどうしてそうなんだ？辛いくせに。苦しいくせに。何故その気持ちを隠そうとするんだ？」
『お、お前って言わないでくださ…』
「お前が本心を隠し通すつもりだと言うのなら俺だってお前に本心を伝えられない」
カタクリさんが戸惑っている。
声は微かに震えているし、もう泣いてしまうんじゃないかってくらいに辛そうな顔をしている。
そんな顔もするんですね…。
『カタクリさん…』
長い時間、お互い沈黙したまま。
どうしたらいいというのか。
私の本心を伝えた所でどうにかなる訳じゃないでしょ？
「お前の本心を聞く事が帰る為の方法だとしてもか？」
え…？あ…そういう事？
何だ早く言ってよ。
カタクリさんが元の世界に帰れるのだとしたら…そんなの…簡単…。
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三月兎(プロフ) - 天然水さん» こちらこそお読み頂けただけでなく嬉しいコメントまで頂き有難うございます！！本当に励みとなるばかりです(*´ω`*)！ (2021年2月10日 7時) (
レス) id: 5bf5ba8679 (このIDを非表示/違反報告)
天然水(プロフ) - ものすごく感動して涙が止まりませんでした、、泣素敵なお話を書いてくださり本当に有難う御座います！ (2021年2月10日 0時) (レス) id: 5091cdfe04 (このIDを非表示/違反報告)
三月兎(プロフ) - 月ノ猫様 コメント有難うございます！！コメントを頂けて嬉しい限りでございます(*´ω`*)！すぐ様訂正もさせて頂きました！ご指摘下さり有難う御座います！！ (2020年8月4日 21時) (レス) id: 97f08caf1f (このIDを非表示/違反報告)
月ノ猫(プロフ) - ほのぼのしてて読む度に和まさせて頂いています！ はじめてコメントを送っていきなりですみません……………同居20の最後の方での………カタクリのセリフの｢｣が、『』になっています。 (2020年8月4日 18時) (レス) id: 237c738632 (このIDを非表示/違反報告)
三月兎(プロフ) - 雪見もち様 コメント有難うございます！！恐れ多い限りの嬉しいコメを頂けて励みとなります(´；ω；｀)！これからも精進して参りますのでどうぞよろしくお願い致します！！ (2020年8月3日 16時) (レス) id: 97f08caf1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三月兎 | 作成日時：2020年7月27日 2時
