最終話 ページ30
カーテンの隙間から差し込む朝日に、『もう少し遅く来てくれてもいいんだよ』なんて冗談めいたことを呟きながら目をこする。
その振動で隣に眠る寝息が目を覚ます。
「…ん」
「弔、おはよう」
まだ起ききってない舌っ足らずな口でそう言うと、弔の腕の中に引き戻される。
「…あと、少し…」
「………うん」
これから学校に行かなきゃいけないのに、二度寝の提案に乗ってしまうなんて、私も大概弔に甘いかも。
そんなことを思いながらまた微睡みに溺れる。
寝起きがよくなっていたと思っていた弔は、どうやらそういうわけでもないらしい。
黒霧さんは泣いて帰ってくるし。
トガちゃんは『もう弔くん起こしたくないです！』ってぷりぷり怒ってるし。
荼毘くんに至っては、弔を起こしてもらってただけなのにいつの間にか戦闘を開始していた。
おまけに目覚まし時計をセットしようものなら、個性で壊すし。
結局弔は何も変わってなくて、それでも私が起こしに行くと起きようとはしないものの殺気を放つことはないため、トガちゃんと荼毘くんが私のことを裏で『猛獣使い』と呼んでいる。
聞こえてないつもりだろうけど、聞こえてるからな。
そう思いながら微睡みにふわふわと浮いていると、優しく肩を叩かれ現実に引き戻される。
「…黒霧、さん」
「おはようございます、椛さん」
「おはようございます」
そう朝の挨拶を返すと、黒霧さんは一歩下がっておずおずと口を開いた。
「そろそろ起きないと学校に間に合わなくなってしまいますよ。それと…、死柄木弔を起こしてもらっても…」
「はい、大丈夫ですよ」
私の返事に黒霧さんは、ホッとしたような表情を浮かべて部屋を出て行った。
「弔ー、起きてー」
未だ私を抱き締めて離さない弔にそう声を掛けると、瞼を開いてスペサタイト色の瞳を覗かせる。
「…行くのか？」
「学校ですから」
「…分かった」
弔はそう言うとのそりと起き上がった。
その姿を見ながら私は、『そういえば』と呟く。
「何…？」
「…ううん、何でもない」
首を傾げる弔に笑いかけて、私はある宝石に込められた意味を思い出していた。
スペサタイトの意味は、『変わらない愛』
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暁稀 - これこそ純愛。YES純愛。黒霧さんイケメン過ぎて禿げました、どうしてくれるんですかありがとうございます！ (2021年8月13日 3時) (
レス) id: 5c3eb28485 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 最高すぎます！！ (2019年12月29日 2時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
budou(プロフ) - やばすぎた。読んでるだけやのに幸せ... (2019年10月13日 7時) (レス) id: bca9c6f33f (このIDを非表示/違反報告)
チイナ(プロフ) - もう号泣でした。涙がぽろぽろ溢れ出てきて、あーいい作品に出会ったなぁ、と感じました。私の大好きな作品に追加です！このような作品をお作りいただきありがとうごさいます！また読み返しに来ます。 (2019年7月15日 8時) (レス) id: f759a37db1 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - はじめまして。何度も何度も読み返してその度に感動させられて、こんな小説久々に読みました！！また読みに来ます！この作品に巡り合えて幸せです。本当にありがとうございます！ (2019年2月9日 21時) (レス) id: f1af7a443b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うすしおタルト | 作成日時：2018年8月26日 19時
