第67話 ページ27
「お前からキスしろよ」
「…はい？」
私は弔の口から放たれた言葉に文字通り絶句した。
キス？
私から？弔に？
そう視線で訴えると、弔は何食わぬ顔で自分の唇をちょんちょんと人差し指で指す。
いや急かすなよ。
「や、やんなきゃダメ…？」
「消毒続けていいなら、やらなくても別にいいぜ」
「謹んでお受けします」
この野郎。
その言い回しはズルいでしょ。
そう思いながら私は弔の頬に手を伸ばす。
キス、か。
『そう言えばあの時してからしてなかったな』なんて思いながらゆっくりと唇を重ねた。
「ん…」
じんわりと幸せが広がっていく感覚。
もう十分ベッドに沈んでいるのに、さらに沈んでいく感覚。
そっと唇を離して現実に意識を戻すと、紅いスペサタイトと目が合う。
「椛、もう一回」
「えー…」
「早く」
「…んッ」
私に『やれ』なんて言っておいて弔から唇を重ねられる。
「と、弔…」
「もう一回…」
「ちょ…っ」
「…は…っ、もっかい…」
「まだ、…んぅ」
『まだするの？』と言う文句ごと飲み込まれる。
最後のキスは少しだけ長かった。
弔が離れがたそうに私の下唇を小さく吸ったのを合図に目を開けると、未だ捕獲者のそれをした瞳があった。
「…消毒、もうしない？」
「してほしいのかよ」
「いや、正直終わってホッとしてる」
「素直かよ」
私の返答に不機嫌そうにそう言った弔は、ぎゅっと抱き着いてくる。
「弔？」
「寝る」
「えー…」
「何で嫌そうなんだよ」
「だって弔寝起き悪いんだもん。私も一緒に寝なきゃダメ？」
「当たり前だろ。むしろ椛が居ないと意味がない」
「え、どういう…、ん…っ」
その言葉の意味が分からず聞き返すと、キスで誤魔化された。
「…いちいち聞くな」
「…うん」
そっと覗き見た弔の耳は紅く染まっていて、わずかに心臓が高鳴る。
ああ、溺れていく。
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暁稀 - これこそ純愛。YES純愛。黒霧さんイケメン過ぎて禿げました、どうしてくれるんですかありがとうございます！ (2021年8月13日 3時) (
レス) id: 5c3eb28485 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 最高すぎます！！ (2019年12月29日 2時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
budou(プロフ) - やばすぎた。読んでるだけやのに幸せ... (2019年10月13日 7時) (レス) id: bca9c6f33f (このIDを非表示/違反報告)
チイナ(プロフ) - もう号泣でした。涙がぽろぽろ溢れ出てきて、あーいい作品に出会ったなぁ、と感じました。私の大好きな作品に追加です！このような作品をお作りいただきありがとうごさいます！また読み返しに来ます。 (2019年7月15日 8時) (レス) id: f759a37db1 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - はじめまして。何度も何度も読み返してその度に感動させられて、こんな小説久々に読みました！！また読みに来ます！この作品に巡り合えて幸せです。本当にありがとうございます！ (2019年2月9日 21時) (レス) id: f1af7a443b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うすしおタルト | 作成日時：2018年8月26日 19時
