第41話 ページ1
【弔Side】
「これでよかったんですか？死柄木弔」
監 禁部屋を離れると黒霧が口を開く。
「…何のことだよ」
「いえ、何でもありません」
「………チッ」
思わず舌打ちが零れた。
言いたいことがあるなら言えばいい。
どうせ俺が本心でやってないとか思ってるんだろ。
椛を閉じ込めたことを後悔してないか気にしてるんだろ。
余計なお世話だ。イライラする。
何でこんなにイライラしてんだ？
たかが女一人閉じ込めただけだろ？
さらに言えば、今まで敵連合としてどんなことをやって来たと思ってんだよ。
こんなことでイライラするわけないだろ。
こんなことで、
俺の心が痛むわけないだろ。
「死柄木弔、どこに行くんですか？」
「部屋だ」
よく分からないイライラが募ってしまい、バーに帰ってきて早々部屋に向かう。
寝なきゃ気がおさまらない。
そもそも今朝はいつもより早く起きて椛を誘拐する算段を立てていたんだ。
眠くてしょうがない。
まあ、結局黒霧を使って攫う形になったけどな。
「寝る。アイツの飯の時間になったら起こせ」
「…はい」
黒霧が静かに返事をしたのも確認せずに部屋に入る。
そこには、朝まで椛が部屋にいた
俺しか居なかった部屋にベッドは二つ並んでいて、椛の甘い匂いが鼻腔をくすぐる。
「…クソッ！」
いつもより少し乱暴にお父さんを外して机の上に置く。
自分のベッドに身を投げると、優しいような甘いような椛の匂いが鼻の奥に入ってくる。
いつまで俺の中に居る気なんだよ。
離れろよ、もう。
椛の匂いを俺の中から追い出さなきゃいけないのに、急激に睡魔が襲ってくる。
ゆっくりと、瞼が視界を塞ぐ。
「………椛」
さっきまで、腹の奥が煮えたぎりそうなくらいイライラしていたのに、椛の匂いに安心して眠りについたなんて。
俺はきっと、誰にも言わないんだろうな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 637人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
暁稀 - これこそ純愛。YES純愛。黒霧さんイケメン過ぎて禿げました、どうしてくれるんですかありがとうございます！ (2021年8月13日 3時) (
レス) id: 5c3eb28485 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 最高すぎます！！ (2019年12月29日 2時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
budou(プロフ) - やばすぎた。読んでるだけやのに幸せ... (2019年10月13日 7時) (レス) id: bca9c6f33f (このIDを非表示/違反報告)
チイナ(プロフ) - もう号泣でした。涙がぽろぽろ溢れ出てきて、あーいい作品に出会ったなぁ、と感じました。私の大好きな作品に追加です！このような作品をお作りいただきありがとうごさいます！また読み返しに来ます。 (2019年7月15日 8時) (レス) id: f759a37db1 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - はじめまして。何度も何度も読み返してその度に感動させられて、こんな小説久々に読みました！！また読みに来ます！この作品に巡り合えて幸せです。本当にありがとうございます！ (2019年2月9日 21時) (レス) id: f1af7a443b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：うすしおタルト | 作成日時：2018年8月26日 19時
