第48話 ページ8
「…え、と、黒霧さん…？」
「このゲートは緑谷出久の部屋に繋がっています」
「え？」
淡々と。
ただ淡々と告げられた告げられた言葉に驚いた。
いつもより少し冷えた空気を纏った黒霧さんが言葉を紡ぐ。
何を言っているのか理解ができず、戸惑っていると黒霧さんが私の背中をやんわりと押しながら、二つ目に開いたゲートへ押す。
「今までは、死柄木弔の言うことなので従ってきましたが…」
背中から切なそうな声がする。
「でも、椛さんが涙を流しているのを知りながら見て見ぬふりをするなんて…、もう…っ、私には出来ません…っ！」
私の背中に添えられた黒霧さんの手が震えている。
涙を流しながら言葉を紡いでいる。
戸惑う私には何も出来ない。
添えられた手を握ることも、零れ落ちる涙を拭うことも出来ない。
ただ、この背中に触れる体温が消えないように、離れないように願うことしか出来ない。
黒霧さんに押されるがままにゲートを抜けると、至って普通の、普通じゃないことと言えばオールマイトのグッズで溢れ返った部屋に居た。
そして私の視線の先には、
「椛っ！」
「…出久？」
大きな瞳に零れ落ちそうなほど涙を溜めた出久が居た。
「椛…、椛…っ！」
出久は苦しそうに私の名前を呼ぶと、その腕の中に私を抱き締めた。
「無事で、よかった…っ！」
「え、何で、ここ…」
頭がおかしくなりそう。
何がどうなってるの？
「緑谷出久には全部話しています」
出久に抱き締められたままどうすることも出来ない私に、黒霧さんがそう言った。
「無茶を承知で緑谷出久に頼み込み、ゲートを繋がせて頂きました」
「な、んで…」
やっと言葉を発せるようになってきたのに、思考が回らない。
「…貴方はもう、普通に暮らしていいんです」
黒霧さんの優しい声が、星空に消えていった気がした。
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暁稀 - これこそ純愛。YES純愛。黒霧さんイケメン過ぎて禿げました、どうしてくれるんですかありがとうございます！ (2021年8月13日 3時) (
レス) id: 5c3eb28485 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 最高すぎます！！ (2019年12月29日 2時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
budou(プロフ) - やばすぎた。読んでるだけやのに幸せ... (2019年10月13日 7時) (レス) id: bca9c6f33f (このIDを非表示/違反報告)
チイナ(プロフ) - もう号泣でした。涙がぽろぽろ溢れ出てきて、あーいい作品に出会ったなぁ、と感じました。私の大好きな作品に追加です！このような作品をお作りいただきありがとうごさいます！また読み返しに来ます。 (2019年7月15日 8時) (レス) id: f759a37db1 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - はじめまして。何度も何度も読み返してその度に感動させられて、こんな小説久々に読みました！！また読みに来ます！この作品に巡り合えて幸せです。本当にありがとうございます！ (2019年2月9日 21時) (レス) id: f1af7a443b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うすしおタルト | 作成日時：2018年8月26日 19時
