第57話 ページ17
『何で戻ってきたんだよ』
弔のその言葉に、『やっぱ、抜け出したのバレてるか』と思ったと同時に、怒りが込み上げてきた。
『何で』って。
自分を監 禁した相手のところに女子高生がわざわざ帰ってきたんだよ？
しかも相手は敵連合の長だよ？
これ以上の理由なんてあるもんか。
あってたまるか。
「こ、の…っ、弔のバカ…っ」
「あ？」
「椛さん…？」
こんなこと言いに来たわけじゃないのに。
思わず口から零れていた。
弔も黒霧さんもびっくりしてるじゃん。
でも、その反動でわずかに力が緩くなった弔の手から首を離す。
痛い。普通に痛い。
弔のやつ、本気で締めたな。
そう思いながら弔を睨む。
このオトナコドモには、言ってやらなきゃ何も伝わらない。
私は痛む喉を軽く撫でて口を開く。
「『何で』？バカにしてんの…？」
思ったよりもきつい口調になってしまい、少し後悔の念が脳裏を掠める。
「『帰ってきたいから帰ってきた』以外に理由なんてあってたまるか…」
喋りながら見上げた弔の瞳はわずかな驚きに見開かれていて、ちょっとした優越感が募る。
「そんなことも言わなきゃ分かんない？弔は黒霧さんに甘えて育ちすぎなんだよ」
話の矛先が突然自分に向けられた黒霧さんは目を丸くしている。
「『何で戻ってきたんだよ』？何？そんなに知りたいの？」
私は、一歩前に出て弔の胸ぐらを掴む。
吸い込まれそうなスペサタイトに私が映り込む。
「私は…っ」
嬉しくて。
その瞳の中にまた入れたことが嬉しくて、涙が出る溢れてくる。
泣きたくなんてないのに。
「弔のことが…っ、好き、だから…っ」
言いに来ただけなのに。
「だ、から…っ、帰ってきたの…っ」
ボロボロと涙が零れる。
ああ、今絶対酷い顔してる。
「…だから、」
私は一つ息を吸い込んだ。
それは大きな決心のような、諦めのような。
そんな曖昧な深呼吸。
「………突き放してよ」
弔の瞳がわずかに色を失った気がした。
「私を、弔から解放してよ…っ」
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暁稀 - これこそ純愛。YES純愛。黒霧さんイケメン過ぎて禿げました、どうしてくれるんですかありがとうございます！ (2021年8月13日 3時) (
レス) id: 5c3eb28485 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 最高すぎます！！ (2019年12月29日 2時) (レス) id: a8dea294c9 (このIDを非表示/違反報告)
budou(プロフ) - やばすぎた。読んでるだけやのに幸せ... (2019年10月13日 7時) (レス) id: bca9c6f33f (このIDを非表示/違反報告)
チイナ(プロフ) - もう号泣でした。涙がぽろぽろ溢れ出てきて、あーいい作品に出会ったなぁ、と感じました。私の大好きな作品に追加です！このような作品をお作りいただきありがとうごさいます！また読み返しに来ます。 (2019年7月15日 8時) (レス) id: f759a37db1 (このIDを非表示/違反報告)
琴(プロフ) - はじめまして。何度も何度も読み返してその度に感動させられて、こんな小説久々に読みました！！また読みに来ます！この作品に巡り合えて幸せです。本当にありがとうございます！ (2019年2月9日 21時) (レス) id: f1af7a443b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うすしおタルト | 作成日時：2018年8月26日 19時
