第十五話 ページ17
【鶴丸side】
腹の底がぐるぐると渦巻いて、どす黒い何かが込み上げてくる。
「失礼するぜ」
俺は一言だけ告げ、返事を待たずに扉を開けた。
「な…っ！」
開け放たれた扉の向こうに居るのが刀剣男士と分かると、会議室に居た審神者達はざわつき始める。
「何故ここに入って来たのですか！」
「いやあ、少し話をしに来てな」
「ここは審神者以外立ち入り禁止の場所！何故入って…」
『煩いなあ』
俺はそう呟くと、本体を床に突き立てる。
「ひ…っ！」
その衝撃に驚いたらしい審神者はさっきまでの威勢はどこかに行ったらしく、途端に怯えだす。
「俺は『話をしに来た』と言ったんだ。話とは黙って聞くものだろう？」
瞳に神気を含ませながらそう言うと場は静まり返る。
「鶴丸さん、あんまり怯えさせないで」
落ち着いた声が会議室に響いた。その場に居た全員の視線が俺のうしろに注がれる。そこに居たのは、
「紫苑さん…」
「皆ごめんね、話したい事があるの」
この地域の審神者長の紫苑とその近侍の三日月宗近だった。
この状況が理解出来ていない審神者達は審神者長の名前を呼ぶ事しか出来ない。
改めて静かになった会議室を一瞥して審神者長は俺に視線を送る。それを確認してから俺は一つ息を吐く。
「じゃあ聞こうじゃないか」
思ったより通った声に驚きつつ言葉は止まらない。
「
その質問に首を傾げる者や驚く者。
その中に、動揺を隠せない者が一人。
俺はもちろんその表情を見逃さない。それは審神者長も三日月も同様らしく、審神者長の冷たい声が響く。
「どうしたの？翡翠さん」
「えっ、いや…その…」
あからさまに動揺をし始めたその審神者に、俺の中の何かが切れた。
ブツリ、と。
俺は本体を鞘から抜きながら距離を詰める。
「鶴丸さん！」
うしろから審神者長が制止する声が聞こえたが、俺はスピードを緩める事無く近付く。
こいつが、
階段の下に倒れる主と、頭から流れる鮮血が脳内にこびり付いて離れない。
慌て出す審神者を嘲笑う。
馬鹿め。人の子が神に適うものか。
本体を鞘から抜き終わり天井に向かって高く振り上げた時、
「つるっ！」
聞こえるはずの無い愛おしい声が鼓膜に届いた。
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紫苑(プロフ) - うすしおタルトさんの作品大好きです!『好きです、和泉一織くん。』も最高でした!! (2022年1月23日 9時) (
レス) id: c54a88bcf6 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - 号泣しました（ ; ; ）この小説を読んでもっともっと鶴丸が好きになりました！こんな素敵な小説書いてくださって本当にありがとうございました！ (2019年2月17日 13時) (レス) id: 749d380e6b (このIDを非表示/違反報告)
莉奈 - 涙が止まらない！でも他の皆は？ハッピーなのかバットエンドなのか｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2019年1月22日 0時) (レス) id: aaa5551089 (このIDを非表示/違反報告)
るみ奈 - 読みながら、ただひたすら涙が止まりませんでした…。超感動しました！多分これまでで一番かもしれないです。鶴さん大好きです。これ読んだら、より好きになりました。他の作品も頑張ってください！応援してます！ (2018年10月12日 1時) (レス) id: 47df6e8b39 (このIDを非表示/違反報告)
Rose(プロフ) - 完結お疲れ様です！こんなに泣いてしまった夢小説は初めてです。語彙力が無さすぎて伝えきれないんですけどとりあえずありがとうございました！これからも応援しています！ (2018年7月20日 1時) (レス) id: e1b4e7d96d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うすしおタルト | 作成日時：2018年4月18日 19時
