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「あるじ様、ついに本日でございます」
『うん。"白山吉光"…初の剣だよね』
ブラック本丸で酷い扱いを受けていた刀剣の保護及び戦力拡充を目的としたこのプロジェクト。
どんな所にいたのか想像もつかないけれど、噂を聞く限り神格が変わってしまっていてもしょうがないように思える。
刀の状態で来てくれるって話だけど、顕現して暫くは粟田口に接触するのも危ないかもしれない。
「新入りはどんなやつかな〜」
『珍しい刀種だし、どんな子なのか想像つかないね』
私達が知っているのは、白山君が粟田口の刀派であることと剣という刀種であること。彼自身のことは全く知らないと言えるだろう。
縁側でのんびり清光とお茶を嗜んでいるとこんのすけの鈴が光る。どうやら噂の彼が転送されて来るようだ。
そうして私達の前に置かれたのは、珍しい
丁寧に手入れが施され、その飾らない美しさに目を奪われた。
『じゃあ、顕現させようか』
「主、気を付けて」
普段出さないような緊張感のある声で清光が隣に座り込む。
私も久し振りの初対面なので少し手が震える。
白山吉光に右手をかざしたその刹那─────
『イテッッ!!』
静電気の時の放電とはかなり威力の違う電流が私の右手を通じて体中に巡る。その中には明確な敵意が感じられた。
「主!大丈夫っ!?血が…」
『初めて拒まれた……』
彼から溢れ出る嫌悪の感情が泣き叫ぶように私の指先に傷をつけた。政府は非接触で彼を手入れしたのだろう。これほどまでに審神者や人間への憎悪を孕んだ刀剣はほとんど刀解されてしまうはずだ。
物言わぬ姿になっていても、彼の意思は腐ることなく煮えたぎっているのだ。
「絆創膏!ほらっボケっとしてないで主!!嫁入り前なのに傷が残ったら大変だよ」
『ねぇこんのすけ。彼が前にいた本丸のことって分かる?』
慌てる清光と反対で、私はなぜか酷く冷静だった。彼にどうやってウチの本丸が安全な場所だとわかってもらえるか、そればかりが脳みそを支配する。
「秘匿文献に移されていると、私でも難しいです…」
『そっか…』
三人できらりと太陽に反射する剣を見つめた。こんなに美しいのに黒い靄に囚われているなんて、悲しすぎる。
精一杯貴方と生きていきたい。私はそれを伝えたい。
少なくとも今本丸に居てくれる皆は同じ気持ちだ。
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さんふね(プロフ) - プスメラウィッチさん» プスメラウィッチさんコメント有難うございます!今の所オチは決めてません。。オチを作る予定が無かったもので…五条さんコールが強ければそのようなお話になるかと思います(´▽`)これからもどうぞ宜しくお願いします (2021年7月13日 20時) (レス) id: d691bf6e97 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2021年7月12日 0時) (レス) id: 8685377221 (このIDを非表示/違反報告)
さんふね(プロフ) - 皐月さん» 皐月さんコメント有難う御座います!更新速度が落ちているこの作品ですがそのように言って頂けて有り難いです。これからもどうぞ宜しくお願いします (2021年4月23日 16時) (レス) id: d691bf6e97 (このIDを非表示/違反報告)
皐月 - 私の中で「どなたか書いてくださらないかなぁ」と、ムラムラ(笑)してた呪術廻戦と刀剣乱舞のクロスオーバー。神作品を書いてくださり、本当にありがとうございます!御無理はなさらず、更新頑張って頂けたらこれ幸いです^ - ^ (2021年4月14日 22時) (レス) id: d0dd666c8e (このIDを非表示/違反報告)
さんふね(プロフ) - ネコマタさんのちょびひげさん» コメント有難う御座います!とっても嬉しいです!!有難う御座います!(大声)今後とも宜しくです (2021年1月27日 23時) (レス) id: d691bf6e97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さんふね | 作成日時:2021年1月24日 21時