09−失恋 ページ9
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「……先生は」
「ん?」
駄目だ。聞いちゃいけないのに、脳が追いついてない。
「…彼女とか、居る?」
「…………いやいねェ」
頬杖ついて私をじっと見つめ続ける先生。
それ聞くけどどういう感情ですか。
「………じゃ、あ、…好きな人とかは?
この学校にいたりする?」
「………あのなァ」
持ってたペンを置いてノートを閉じる先生。
どうしよう、好きな人いる、とか言われたら。
多分当分は立ち直れない自信がある。
「―…俺はガキには興味ねェ。生徒とは付き合えねーよ」
「…っっ」
「………だから、お前」
「あはは、分かってますよぉ〜!」
あー違う。出るな涙。
最悪予想してた答えと違ったけど、何だかもっと辛くなってる。
閉じられたノートを強引に取って立ち上がる。
先生は頬杖を外して驚いた顔で私を目で追いかけた。
「オイ、待っ」
「じゃ先生ありがとうございました!失礼します!」
言葉を遮って無理矢理終わらせる。
お辞儀したと同時に涙が一粒落ちた。
気付かれないように直ぐに後ろを向いてドアを閉める。
アホ。私のアホ。伊之助の言う通りだ。
「オイ!どこ行ってたんだよA!」
「女の子に何でも聞くのは野暮だよ」
「ロボ!?俺はロボじゃねェ!」
「や、ぼ」
伊之助が居てくれてよかった。
自分の中で重かった空気を忘れられる。
お昼ご飯を待っていてくれてたみたいで、私が帰って間も無く「行くぞ」と手を引っ張られて炭治郎のクラスへ連れて行かれた。
「A! 早く食べよう!」
「……うぅ〜炭治郎〜!」
「わっどうしたんだA!」
「Aちゃんが俺になってる…」
「お前と一緒にスンナ紋逸アホ」
炭治郎の優しい顔を見た途端周りを気にせず胸に飛び込む。
善逸君も心配してくれてる。唯一伊之助はムシャムシャお弁当を食べてた。
「じづれ"ん"した」
「A! 鼻水が汚い!」
「えええん」
私はいつのまにこんなに精神年齢が幼くなってたんだろう。いや高校生だから合ってるんだとは思うけど。
何が、ガキには興味ねェよ。
(元は)ガキじゃないし!(昔は)同い年だったし!
「Aにはいい人が居るよ。そもそも告白が早すぎたんだよ」
「うん…告白はしてないんだけどね」
「え?」
炭治郎が「心配したのに」と物凄く怒ってきた。
結局炭治郎はその日の帰りまでずっと怒ってた。
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yukino(プロフ) - 実弥と幸せになれていて嬉しいです! 作品,とっても面白かったです!私,最近アカウント作ったばっかりなのであれですが,「OLは夢を見ない」めっちゃ愛読してました! 本当にどの作品もとても面白いです!!!! (2022年1月17日 19時) (レス) @page47 id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - 嗚呼、前世でも、今世でも実弥のお嫁さんになれるなんて幸せです!伊之助との三角関係が面白かったですが、リクエストで鬼の猗窩座とか無理ですかね?千寿郎とかも、出来たらお願いしたいです (2021年3月15日 17時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
ぬれおかき(プロフ) - おそらまめさん、私の学校にもどうか不死川先生を召喚してください(^^)/かっこよすぎて酸欠(^_-)-☆ (2021年2月7日 13時) (レス) id: dde5b1dc7f (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、この作品にも足跡を残して頂きありがとうございます!作者の作品を沢山お気に入りして下さってたんですね、嬉しいです…!どれも拙いなりに一生懸命時間をかけて執筆しているので、そのお言葉が何より身に染みます…!ありがとうございます(^^) (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - こちらも、おそらまめ様の作品だったんですね!いや、かなりお気に入りしていて今更気づきました(笑)愛ある作品の数々、語彙力あって背景が浮かんで、もう虜です!←いきなり出てきて熱弁をお許し下さいm(_ _)m (2020年11月26日 13時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年2月12日 13時