05−無比 ページ5
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「…桜田かァ」
「な、まえ…覚えるの早いんですね」
「そういうのは得意なんでなァ」
思わず引き止めたけれど何も言う事が無かった私を見かねて、実弥はゆっくり此方を見遣る。
思えば昔も、実弥と会った時はビリビリした空気を纏ってた。
昔程までは行かないけど、私に対して多少の警戒を抱いてるのが分かる。
「……お前スカート短ェぞォ。校則違反だァ」
「えっそ、そんな校則無いです! ピアスは駄目なのは分かってますけど!」
「…ハ? ピアスだとォ? お前何勝手に自分の体傷つけてんだよォ…!」
「何でそんなに先生が怒ってるんですかぁ!」
「校則違反だからだっつってんだろうが…」
ピアスと聞いた瞬間般若の顔して私の耳に手をかける実弥。
髪に指が触れた途端体が反応した。…実弥だ。
誤魔化す様に「やめて下さいっ」なんて実弥の手から逃げた。
「桜田ァ逃げんじゃねェ耳引き千切んぞォ!
それからスカート短ェっつってんだろォ下せやァ!」
「きゃあ〜先生のえっちぃ!」
「……っぐ、」
茶化す風にあっかんべえ、と実弥に仕向ければ彼は盛大に胸を抑えてしゃがみ込んだ。
私から行ったくせに、結局自分の体が実弥に反応しすぎて駄目だ。
このままじゃ気づかれちゃう。…でも側にいたい。
火照りに気づかれない様に、私は「さよならっ」と慌てて鞄を持って階段を駆け下りた。
「A、HR長かったのか?」
「うん、お待たせ炭治郎」
「待ってないから大丈夫だ! …それで後ろの美少年は誰だ?」
「え?」
炭治郎が指差す後ろを見れば、いつのまに付いてきてたのか伊之助君が立っていた。
声にならない悲鳴を上げると、容赦無く伊之助君が私の鳩尾に突進してくる。
「猪突猛進! 猪突猛進!」
「ぐえっ」
「誰なんだ君は!! 女の子に乱暴するな!」
「お前覚えてねェのかよ!!」
「覚えてるも何も君と俺は初対面だ! 失礼だぞ!」
「……フン!! 俺だって知らねぇよお前の事なんざ!」
伊之助君が少し泣きそうな顔をしていた。
そりゃそうか。前世にあれだけ仲良かったのに、覚えてくれてないなんて。
……だけど実弥もあの様子じゃ…私の事なんて。
「ッア"ーーーー!!」
「ア?」
「アじゃない伊之助君」
「誰なんだ君は!!」
一際目立つ金髪。その腕には風紀委員と書かれたリボンが付けてあった。
善逸くんだ。
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yukino(プロフ) - 実弥と幸せになれていて嬉しいです! 作品,とっても面白かったです!私,最近アカウント作ったばっかりなのであれですが,「OLは夢を見ない」めっちゃ愛読してました! 本当にどの作品もとても面白いです!!!! (2022年1月17日 19時) (レス) @page47 id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - 嗚呼、前世でも、今世でも実弥のお嫁さんになれるなんて幸せです!伊之助との三角関係が面白かったですが、リクエストで鬼の猗窩座とか無理ですかね?千寿郎とかも、出来たらお願いしたいです (2021年3月15日 17時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
ぬれおかき(プロフ) - おそらまめさん、私の学校にもどうか不死川先生を召喚してください(^^)/かっこよすぎて酸欠(^_-)-☆ (2021年2月7日 13時) (レス) id: dde5b1dc7f (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、この作品にも足跡を残して頂きありがとうございます!作者の作品を沢山お気に入りして下さってたんですね、嬉しいです…!どれも拙いなりに一生懸命時間をかけて執筆しているので、そのお言葉が何より身に染みます…!ありがとうございます(^^) (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - こちらも、おそらまめ様の作品だったんですね!いや、かなりお気に入りしていて今更気づきました(笑)愛ある作品の数々、語彙力あって背景が浮かんで、もう虜です!←いきなり出てきて熱弁をお許し下さいm(_ _)m (2020年11月26日 13時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年2月12日 13時