34−日常 ページ36
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「行ってきまーす」
いつもより少し遅い時間に家を出る。
しばらく歩いていると曲り角で炭治郎と善逸が立ってた。
軽く手を振って近づく。
「お早う炭治郎、善逸」
「お早うA〜」
「おはよう!」
いつもの様に元気そうに挨拶を返す炭治郎と、にへらと癒し顔で笑う善逸。
3人で歩き始めると、前から猪がこちらに向かってきているのを確認した。
「猪突猛進!猪突猛進!」
「ゔ」
「お早う伊之助!」
「伊之助ぇ!!お前それすればAに触れると思ってんだろ!!離れろ!」
自分の家の前で待っていたらいいのに、伊之助はこうして私達の元にわざわざ飛んできてくれる。
お決まりの様に私に突進してきては善逸に怒られる。これが高校生活での朝の日常だった。
「善逸今日はわざわざ朝からありがとね」
「全然いいよう。Aの折角のお願いだしね」
「Aも可愛いな。_卒業式に善逸も一緒に登校したいなんて」
「善逸お前何でいんだよ」
「いや話聞いてた!?クソ猪!!」
――今日は私達の卒業式。
1年先に卒業した善逸とはこうして朝登校するのは約1年ぶりだ。
2年間の間に私達は成長した。…お互いの事を理解して、そしてこの卒業を惜しむくらいには。
「それじゃみんな、また後で」
「ああ」
「じゃあね善逸」
「紋逸帰んのか?」
「後でまた会えるよ」
そう言うと伊之助の周りをホワホワした幸福そうなオーラが包んだ。
伊之助はこう見えて、1年前の善逸の卒業を一番悲しがってたから。
炭治郎ともクラスに別れて、伊之助と共に自分の教室に向かう。
伊之助とは3年間連続で同じクラスだった。
それも、今日で卒業。
「伊之助。3年間ありがとね」
「あ"? ンだよいきなり」
「ううん、別に」
教室に着いた途端、何故か突然恋しくなった。
今までの何気ない毎日の授業や沢山の行事や、友達との日常や登下校。
同じことの繰り返しのように思えて、毎日本当は全て違ってた。
毎日が、煌めくほど素晴らしいものだった。
「皆さんも今日で卒業ですね。おめでとうございます
今日まで貴方達は高校生です。最後まで気を抜かず胸を張って卒業できるように心がけて下さいね」
担任の先生の言葉を一言一句噛み締めて聞く。
いつもなら先生の言葉なんて聞き流すのが当たり前だったのに。
今日は彼女の言葉が、何倍も重く感じられた。
_今日、私達は卒業する。
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yukino(プロフ) - 実弥と幸せになれていて嬉しいです! 作品,とっても面白かったです!私,最近アカウント作ったばっかりなのであれですが,「OLは夢を見ない」めっちゃ愛読してました! 本当にどの作品もとても面白いです!!!! (2022年1月17日 19時) (レス) @page47 id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - 嗚呼、前世でも、今世でも実弥のお嫁さんになれるなんて幸せです!伊之助との三角関係が面白かったですが、リクエストで鬼の猗窩座とか無理ですかね?千寿郎とかも、出来たらお願いしたいです (2021年3月15日 17時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
ぬれおかき(プロフ) - おそらまめさん、私の学校にもどうか不死川先生を召喚してください(^^)/かっこよすぎて酸欠(^_-)-☆ (2021年2月7日 13時) (レス) id: dde5b1dc7f (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、この作品にも足跡を残して頂きありがとうございます!作者の作品を沢山お気に入りして下さってたんですね、嬉しいです…!どれも拙いなりに一生懸命時間をかけて執筆しているので、そのお言葉が何より身に染みます…!ありがとうございます(^^) (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - こちらも、おそらまめ様の作品だったんですね!いや、かなりお気に入りしていて今更気づきました(笑)愛ある作品の数々、語彙力あって背景が浮かんで、もう虜です!←いきなり出てきて熱弁をお許し下さいm(_ _)m (2020年11月26日 13時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年2月12日 13時