29−不死川先生は余裕がない ページ30
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「実弥…っさね、み」
「あァ」
「す、き、……実弥が、好きっ…!」
ぐらぐらに積み上げていた理性というものは音を立てて崩れていった。
目の前の実弥の首に手を回してぎう、と抱きつけば彼は嬉しそうに肩口に顔を埋めた。
「……っん、ぐす、」
「そんなに嬉しかったんかィ」
「だってぇ…っ先生の、時…全然相手にしてくれ無かったから…!」
「……あーそれは」
「思わせぶりな、態度取ってた…!」
面倒そうに目を逸らした実弥。
問い詰めると煩い口を塞ぐみたいに唇が覆い被さった。
「…っずるい。キスで、黙らせるなんて」
「…お前がいつも俺の話をちゃんと聞かねェからだ
俺は最初お前が覚えてねェと思ってたんだよ
…記憶のねェ只の生徒に手出しゃまずいだろォ
だからガキには興味無ェと言った
…お前はガキじゃねェからなァ?」
「…………馬鹿実弥」
よっこらせ、と先生が本棚に凭れ掛かりながら胡座をかいてその上に私を座らせてくれた。
胸に頭を預ければふっくらとした胸筋が枕代わりになる。
「お前が卒業するまで待ってようと思ったのによォ…
――…俺と付き合ったからにはお前には約束事守ってもらわなきゃなァ」
「…?何?」
「先ずはスカートが短ェ。ボタンを全部閉めろ。髪を耳にかけんな。ピアスを閉じろ。体操服は冬服を着ろォ。誰彼構わず愛嬌を振り撒くな。悩み事は」
「ちょ、ちょっと待って!」
あくまでも真剣に言ってる、この人。
多分このまま止めなかったらあと30個は止まらず言い出しそう。
「多い!過保護!…自由にさせてよ!」
「だァめだ。お前を見る男の目が嫌だ」
「そんなの無いよ」
「あるわァ。お前の尻やら胸やらガン見してる」
「それは実弥でしょ」
「俺はいいんだよォ」
上から実弥のキスが浴びる程降ってくる。
次顔を見る時は、さっきとまた同じ顔。…瞳の奥の熱が熱い。
「……なァ。してェ」
「……っ、さ、さーてと!そろそろ下校の時間だな〜!」
突然投下してきた爆弾発言を無視して立ち上がって荷物を纏める。
実弥はそれを引き止める事なく大人しく見ていた。
「…アレ?鍵、」
開かない。……………まさか。
そろそろと後ろを見れば、こちらに歩み寄る実弥がネクタイを緩めながら色っぽく笑った。
「_いけねェ生徒だなァ……Aチャン?」
不死川先生は余裕がない
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yukino(プロフ) - 実弥と幸せになれていて嬉しいです! 作品,とっても面白かったです!私,最近アカウント作ったばっかりなのであれですが,「OLは夢を見ない」めっちゃ愛読してました! 本当にどの作品もとても面白いです!!!! (2022年1月17日 19時) (レス) @page47 id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - 嗚呼、前世でも、今世でも実弥のお嫁さんになれるなんて幸せです!伊之助との三角関係が面白かったですが、リクエストで鬼の猗窩座とか無理ですかね?千寿郎とかも、出来たらお願いしたいです (2021年3月15日 17時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
ぬれおかき(プロフ) - おそらまめさん、私の学校にもどうか不死川先生を召喚してください(^^)/かっこよすぎて酸欠(^_-)-☆ (2021年2月7日 13時) (レス) id: dde5b1dc7f (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、この作品にも足跡を残して頂きありがとうございます!作者の作品を沢山お気に入りして下さってたんですね、嬉しいです…!どれも拙いなりに一生懸命時間をかけて執筆しているので、そのお言葉が何より身に染みます…!ありがとうございます(^^) (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - こちらも、おそらまめ様の作品だったんですね!いや、かなりお気に入りしていて今更気づきました(笑)愛ある作品の数々、語彙力あって背景が浮かんで、もう虜です!←いきなり出てきて熱弁をお許し下さいm(_ _)m (2020年11月26日 13時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年2月12日 13時