28−白状 ページ29
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「先生……思い、出したの…?」
「ばァか、元から記憶アリだァ」
「…………え、嘘でしょ?」
「残念ながら嘘じゃねェなァ」
羞恥心と怒りと困惑やらの感情が合わさって悲鳴をあげそうになる。
慌てて大きな手が片手で私の顎から鼻までを広く覆って。
「阿保!外に聞こえたらどうすんだァ!」息が近くなって焦った表情の彼が小声で牽制した。
ぶんぶんと首を縦に振ってごめんなさいと頷く。
「……ぷはっ」
大きな手が離れて、一気に酸素を吸い込む。
未だに間近にある彼の顔が何か企みを思い付いたかの様ににやりとほくそ笑んだ。
…嫌な予感がする。
「……しかしよォ。俺は覚えてんだがAチャンは覚えてねェみたいだなァ?」
「……えっ?」
「覚えてねェなら……思い出させねェとなァ」
「ちょ、まっ先生、」
「昔のお前は俺の事を実弥、って呼んでて……俺の手が好きで…俺に関係する周りのモンも引っくるめて全部好きだったなァ」
本棚についていた手がすすす、と私の体に沿って降りてくる。
頭から太ももまで這う様に撫でられて、実弥の手を覚えている体はその度に反射的にぴくんと跳ねるのだ。
「…っ、!?」
「俺はお前の唇も…耳も…胸も……全部覚えてる」
「っ、〜〜…っ」
「………ココの、良いところも」
「いい加減にして、っんぅ、」
臍の下をぐっ、と指の腹で押さえられた時焚き上がる熱情が湧いてきて慌ててその手を払おうとした。
…その前に顎を撫でられ上を向かされたかと思えば、しっとりとした懐かしい感触がゆったりと唇に降る。
緩くなった唇を実弥の舌がこじ開けて、それが私の舌を探し当てて絡めとる。
「さね、み…っんん、ん、」
「………やっと俺を呼んだなァ」
「…っあ、」
永遠にも感じられたそのキスに、彼の名が自然と溢れ出た。
口をつぐんでももう遅い。くつくつと笑ってる実弥を睨めば、「可愛いねェ」とつぐんだ口にまた実弥の薄い唇が落ちてきた。
「なァ、A」
緊張した私の指を絡めとって指先に一本ずつ唇を落としていく実弥。
私の小指を口に含んだまま、実弥がこちらをみた。
__まぐわいの時、彼はこの顔をする。
「……っわ、私は…!」
慌てて手を振り解いて目を逸らす。
だけどそれを許してくれないのが、実弥だ。
解かれた指をもう一度絡めとって彼は私にキスをした。
「いい加減楽になっちまえよォ…A」
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yukino(プロフ) - 実弥と幸せになれていて嬉しいです! 作品,とっても面白かったです!私,最近アカウント作ったばっかりなのであれですが,「OLは夢を見ない」めっちゃ愛読してました! 本当にどの作品もとても面白いです!!!! (2022年1月17日 19時) (レス) @page47 id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - 嗚呼、前世でも、今世でも実弥のお嫁さんになれるなんて幸せです!伊之助との三角関係が面白かったですが、リクエストで鬼の猗窩座とか無理ですかね?千寿郎とかも、出来たらお願いしたいです (2021年3月15日 17時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
ぬれおかき(プロフ) - おそらまめさん、私の学校にもどうか不死川先生を召喚してください(^^)/かっこよすぎて酸欠(^_-)-☆ (2021年2月7日 13時) (レス) id: dde5b1dc7f (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、この作品にも足跡を残して頂きありがとうございます!作者の作品を沢山お気に入りして下さってたんですね、嬉しいです…!どれも拙いなりに一生懸命時間をかけて執筆しているので、そのお言葉が何より身に染みます…!ありがとうございます(^^) (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - こちらも、おそらまめ様の作品だったんですね!いや、かなりお気に入りしていて今更気づきました(笑)愛ある作品の数々、語彙力あって背景が浮かんで、もう虜です!←いきなり出てきて熱弁をお許し下さいm(_ _)m (2020年11月26日 13時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年2月12日 13時