不死川先生は余裕がない【鬼滅の刃】

25−どうして今更 ページ26

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次の日から私は不死川先生となるべく会わないように避ける事にした。

忘れるったってそりゃ前世は旦那だし思い切り思い入れがあるし何より好きだから顔を見れば胸が苦しいからという理由。


木、金の二日は数学の授業が無いから先生に合わなくても済んだ。そして土日を挟んで今日は月曜日。





「おはようございます」

「…………」





風紀委員の善逸君が爽やかに女の子を見送っている。
そしてその横には不機嫌そうな冨岡先生。

そこまではわかる。


―…一体全体どうして不死川先生も門立ちをしているわけ！！？





「おはよう炭治郎。Aちゅわんっ」

「…お早う善逸君」

「お早う善逸！冨岡先生お早うございます！」





月曜日からこの顔を見る事になるなんて。
隣の隣から物凄くズブズブと刺さる視線を感じる。

そうだ先生は門立ちをしているだけで私を見ているわけじゃない。


今日も冨岡先生から校則違反の点数を2点貰って、いつも通り校門を通過する。

内心びくびくしながらも不死川先生の方を見ずに炭治郎の影に隠れて通ろうとした。





「桜田ァァ…………」

「ひぃ」

「先生に挨拶無しに通学たァ肝据えてんじゃねェかァ…10点だ」

「じゅ、っゲホ、り、理不尽です…！」

「そうですよ不死川先生！」

「つべこべ言うなァ10点溜まったから反省文だ。
今日放課後居残りな」





挨拶無しで10点なんて幾ら何でも可笑しすぎる。
もうこれ以上先生と関わりたく無いのに。

だけど不死川先生の機嫌がいつもの四倍は悪くてそんなの言えそうにもなかった。





「＿桜田」

「…っ」





その日の放課後配られた反省文を写していると引かれた教室の扉から不死川先生の声がした。

徐々に近づく足音に、私の筆を進める速度も上がる。


カタン、と私の前の椅子が引かれて不死川先生がそこに座る。
どくどく跳ね上がる心臓に気を取られて反省文を書く手が緩まる。





「桜田、お前」

「……お、終わりました！反省文！」

「…あァ。それより、」

「先生、私友達待たせてるので帰りますね！さよなら！」

「は？ちょ、待」





急いで鞄の中に筆箱を仕舞い込んで立ち上がる。
不死川先生から伸ばされた腕を避けて逃げる様に立ち去る。

後ろから怒号の様に「桜田ァ！！」と飛んで来たが私は無視して階段を駆け下りた。


靴箱まで来て、ずるずるとしゃがみ込む。





「……忘れるって、決めたのに…」





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