17−嫌い ページ18
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先生の吐き捨てた言葉がずしんとのしかかる。
彼を見てももう目は合わなくて、代わりに伊之助は私の肩を強く抱く。
「お前の恋愛は勝手にやってろよォ」
「……ッハ、そうだよな。"先生"だもんなお前は!」
「…っ伊之助、ん」
震えた彼の手がぎりぎりと食い込む様に私の肩を掴んで、苦しさに懇願してもその手は緩まない。
「言っとくけどな!!」伊之助が怒号の様に言葉をぶつけた。
「此奴は俺のハチマキ受け取ったし!!お前が持ってるおはぎも一番最初に食べたのは俺だ!!」
「…………あァ?」
「……い、伊之助」
「テメェがモタモタしてる間に!!俺はお前の先を行く!!」
子供みたいな自慢に先生も青筋立てていた。
早口で捲し立てた伊之助が私の肩を抱いたまま「行くぞ!」と歩かされる。
先生。…振り返ると彼は、私があげたおはぎのタッパーを見つめながら立ち尽くしていた。
「い、伊之助…!伊之助ってば…っ」
「…ガハハ!!とうとう言ってやったぜ!!彼奴にはムシャクシャしてたんだ!!」
「言い過ぎだよ!何であんな事いうの!」
校内に入って目的地も無くズンズン進んでいく伊之助の肩を押す。
立ち止まったかと思えば仁王立ちして笑い出す伊之助にムッときた。
「彼奴が俺からお前を取り上げるから悪いんだよ!
Aも勝手にどっか行くな!子分は親分について来るモンだろうが!」
気付けば彼の頬を叩いていた。
元々大きい瞳が溢れる程見開かれる。
それでも私は伊之助の言葉が許せなくてもう止まらない。
「……私は伊之助のペットじゃない!
私は伊之助が本当は友達思いで優しいのを知ってるから嬉しかったよ…!
だけど自分勝手に人の事を傷つけて思い通りにならなかったら怒鳴る伊之助なんて親分じゃない!」
「……エ」
「伊之助なんて………嫌いッ!!」
久しぶりにムキになって怒ったから涙が出てきた。
伊之助の手を振り払ってグラウンドの方に戻る。
友達の方に戻るとにやにやと含み笑いを向けられて「随分遅かったね〜?」なんてノリできたから複雑な気持ちになった。
「A〜!お疲れ。帰ろう!」
「あ…炭治郎。お疲れ様、今日は友達と先約あるから先帰って!」
「そうか、気をつけて帰るんだぞ」
体育祭が終わって炭治郎と善逸君が来たけど、私は伊之助と顔を合わせ辛くて嘘をついた。
後ろに居た伊之助は泣きそうな顔して黙っていた。
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yukino(プロフ) - 実弥と幸せになれていて嬉しいです! 作品,とっても面白かったです!私,最近アカウント作ったばっかりなのであれですが,「OLは夢を見ない」めっちゃ愛読してました! 本当にどの作品もとても面白いです!!!! (2022年1月17日 19時) (レス) @page47 id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
まゆまゆ(プロフ) - 嗚呼、前世でも、今世でも実弥のお嫁さんになれるなんて幸せです!伊之助との三角関係が面白かったですが、リクエストで鬼の猗窩座とか無理ですかね?千寿郎とかも、出来たらお願いしたいです (2021年3月15日 17時) (レス) id: 442319c796 (このIDを非表示/違反報告)
ぬれおかき(プロフ) - おそらまめさん、私の学校にもどうか不死川先生を召喚してください(^^)/かっこよすぎて酸欠(^_-)-☆ (2021年2月7日 13時) (レス) id: dde5b1dc7f (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、この作品にも足跡を残して頂きありがとうございます!作者の作品を沢山お気に入りして下さってたんですね、嬉しいです…!どれも拙いなりに一生懸命時間をかけて執筆しているので、そのお言葉が何より身に染みます…!ありがとうございます(^^) (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - こちらも、おそらまめ様の作品だったんですね!いや、かなりお気に入りしていて今更気づきました(笑)愛ある作品の数々、語彙力あって背景が浮かんで、もう虜です!←いきなり出てきて熱弁をお許し下さいm(_ _)m (2020年11月26日 13時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年2月12日 13時