不死川先生は余裕がない【鬼滅の刃】

番外−唇から伝染する ページ15

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「不死川、今年も派手に貰ったな！」

「お前に言われたかねェよ」





不死川の机には20個程のチョコやらケーキやらが散乱していた。こいつは不要な物を職員室に溜める癖があるから胡蝶が勝手に捨ててるのを奴は知らない。

もう放課後。こんなに菓子を貰ってるってのに此奴はいい顔を一つもしねェ。甘いモンが好きな癖に、もっとこの日を楽しんだらいいのによ。





「…先生？」

「…！」





職員室の入り口で女生徒がそう呼んだ。
直ぐに反応して立ち上がる不死川。

背中を向けて歩き出す不死川の視線の先には桜田Aが居た。





「……オイオイ…先生が誰を指してるかも分かんねェだろ」





大勢教師のいる中でただ一人不死川だけが声だけで立ち上がった。
ま、Aの反応見ても一目瞭然だが。





「派手に愛されてんねぇ。お互い」





不死川はそれから1時間程して定時ギリギリに職員室に戻ってきた。

若干乱れたスーツと髪。それから満足そうに弛緩した顔。
……此奴学校で1発かましやがったのか。いいねぇ。





「漸く本命から貰えたのか、チョコ」

「…ア？チョコじゃねェよおはぎだ」

「おっいいな、俺に一つくれよ」

「やらねェに決まってんだろォ」





丁寧にラッピングされた豪勢な和菓子箱を両手に、俺が手を伸ばすと怪訝そうに引き離された。

そして他の生徒から貰った菓子を適当にばらばらと紙袋の中に仕舞い込んで、Aの分は自分の鞄の中に入れる。
この扱いの差よ…。他の生徒が不憫に思えてくるな。





「お前唇に紅移ってんぞ」

「っ、…悪ィなァ」

「やっぱ今食ってきたんじゃねェかアイツ」





パソコンの画面を鏡代わりに不死川が唇を確認して、それと共に乱れた髪とスーツにも気付いて整え直す。

ニヤニヤしてるだろう俺を睨んで「もっと早く言えやァ」と般若の顔して静かに怒鳴った。


もう仕事を終わらせてたのか、不死川は鞄を持って立ち上がる。…あぁ、甘い雰囲気してんな。
こりゃAと過ごす感じだな。





「今日は甘いモン食い過ぎてもいいだろォ」

「……へいへい。程々にな」





次の日Aはげっそりして腰を痛めてた。

甘いモンは程々につったろ…彼奴。






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バレンタイン番外編。

作者も今日は恋人からホールのチョコケーキを頂きました。
ザッハ…タルトかな。ドルチェかな？ お菓子の名前は忘れましたが凄く美味しかったです(作文)。


皆様が明日も素敵な日を過ごせますように。





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