不死川先生は余裕がない【鬼滅の刃】

01ー記憶 ページ1

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唐突だが私には大昔の記憶がある。
大正時代に刀を振るい鬼を斬る仕事をしていた。

それに気付いたのはほんの数年前。
中学生半ばで記憶が蘇って、膨大な知識量に一時期は親にさえ変人扱いされてしまった。





「――…A！ 何ぼーっとしてるんだ？」

「…あ、炭治郎！ ううん、今日から高校生かぁって思って」

「て言っても、中高一貫なのだから殆ど変わらないだろう？」

「んー…んん……ま、それもそうか」





かくいう竈門炭治郎とかいう私の幼馴染みをやってくれてるこの子も生まれ変わりの一人。
だけど炭治郎は記憶は無いみたいでこうして16年間私の隣に居てくれた。

…うーん、何だか少し複雑な心境。
私前世は炭治郎より歳上だったんだけどなぁ。


へらへらしてるだろう私の手を引いて「ほら早く！」と炭治郎は高校の門をくぐった。





「あーっちゃんと気持ち入れて足を入れようと思ってたのに！」

「これから毎日通うんだからそんな事しても意味ないぞ！ さぁ行こう、そろそろ入学式だ！」

「…うう」





もう人通りの少なくなった靴箱へ行って、体育館へと向かう。私達は最後の方だったみたいで、青いジャージを着た水柱様が不機嫌そうに私達を睨んで居た。

……ん？ 水柱？





「…っんぇ、と、冨岡、！」

「ほう、新入生。入学初日から呼び捨てとは良い度胸だな。そして早速校則違反だ二人共！」

「こら、A！ 先生は呼び捨てしちゃ駄目だ！」

「えっ、いや、その、」





どうしたの一体この人。
昔とまるで人が変わってるんだけど。

この場で困惑してるのは私たった一人だけ。
そして入学早々ピアスをしていた炭治郎と私は風紀の点数を付けられた。





「と、冨岡先生！ 中学でも有名だったんです！ 物凄く生徒思いな先生だって！」

「…何？」

「私冨岡先生に会えたから嬉しくて！ …そ、そういうことです！」





何とか初日から生徒指導で目をつけられるのだけは避けたい。
殆ど無理やりな嘘を丸めてぶつければ、途端に水柱様＿基、冨岡先生が目をおっ広げて固まった。





「…今回は見逃してやろう。何せ生徒思いだからな」

「えっ！ いいんですか！ 本当に優しいんですね！」

「…い、いこ、炭治郎！」





取り敢えず今回は助かった。
ムフフと昔の笑い方のまま、自分の世界に浸ってる。

ごった返す体育館で自分のクラスの列に並ぶ為、炭治郎とそこで別れた。





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