鈍感な期待 (ページ5)

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「A！合コン行くよ！合コン！」
『なに、合コン？奈津ちゃん彼氏いるじゃん』
「合コン行くってことはどうなったか分かるでしょ、聞かないでよほんとにもう」
『なんで別れたの』
「聞くなって言った！」
『後で聞くから』

奈津ちゃんはいわゆる恋愛脳だと思う、多分
彼氏が切れることは珍しいし切れたあとすぐに男の子と連絡とったりデートをしたりしてるし

私とは大違い

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「じゃあ、この出会いを祝してかんぱーい！」

なんの出会いを祝すんだよなんて心の中で棘を刺しながらグラスをそっと合わせる

「1人京本ってやつが遅れてくるけど気にせず飲もうね〜」

京、本？
いや、まさかね
彼はこんな場に来なくてもきっと女の子は寄ってくるだろうし

「ごめん、遅れた」
「京本ー！おせーぞ！始まってる！」
「京本くん、ほんとに来たんだ」

囃し立てる男の子にうっとり彼の顔を見る女の子
恐る恐る振り向くとバチッと目が合う

「Aさん？」
『はい』
「ふーん、」

そう言うと私の横に腰を下ろす

『あっちも空いてますよ』
「いい、こっちで
メニューとって」

飲み放題用のメニューと食事のメニューを渡してレモンサワーを1口、口に含む

口の中でぱちぱちと弾ける炭酸と酸っぱい中の少しの苦味
このお店のお酒は少し濃い
合コンだからって店員が潰しに来てる気がする

「Aさんってこーゆーとこくるんだ」
『……うん、誘われて』
「ふーん」

反応遅れたのは許して欲しい
急に話しかけられると思わないし、心の準備もしてなかった

京本くんも来るんだね、とも言えなかった