【募集企画】東方幻想記録物語 5巻 (ページ30)

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非科学主義幻想郷に降り立った科学美咲ページ30

朝と言ったら爽やか。爽やかと言ったら朝。
科学万歳主義(サイエンス)に満ちている外の世界とは裏腹に、日本の原風景を残す田舎染みた辺境、つまり静かで和やかな土地と言える幻想郷において、そんな方程式はほぼ常識といえる。
常識なの、だが…

「うるせえええええええええ！」

そう怒鳴って、私はベッドから立ち上がった。
うるさい。本当にうるさい。何がうるさいって、朝からどっかんどっかんとどこぞの誰かが騒ぎまくるのがうるさい。私に言わせればこんな騒々しい朝は朝じゃない。爽やかさを微塵も感じない朝なんて朝と呼べない。
そもそも、一体全体非科学(オカルト)万歳の幻想郷においてこんな火薬やら金属製の兵器やらががっこんどっかんしているなんてどうかしている……ってまさか！

「私の同志、科学者がいるかも！！」

幻想郷で供給されている科学なんて某河城にとり(河童)くらいしか居ないし、あんな兵器を開発できるなんて科学者しかいない！そう思うとナニかのスイッチが入ってしまい、科学屋に宿泊している三人組の事など忘れて出かけてしまいそうになる＿＿＿のはあまりよろしくないので、朝食と置き手紙を超高速で用意し、私は部屋の片隅から機械的(メカニック)箒を取り出して音速(マッハ)で出発した。

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兵器の持ち主は、程なくして見つかった。
少し離れた森の中で、粉塵と砂埃を撒き散らしながら戦車や砲が何処を攻撃するともなく火を噴いていた。その中心には、頭を抱えてしゃがみこむ長髪の…男か女かは分からないが人間が居た。
私はかすれた口笛を吹きながら、その兵器の精巧さに脱帽する。外の世界では大したことではないのだろうが、幻想郷ではあり得ないぐらい近代的な兵器だった。
私は高度を徐々に下げ、五メートル程度の高さになった時箒から飛び降りた。
ジャギッ！と音を立て、兵器の砲が一斉に私の方を向いた。金属製の戦車砲が並ぶ情景に、少しだけ興奮を覚えた。滅多に見ることの無い近代的な兵器が、全て私のために駆動しているのだ…楽しいったらありゃしない。
これだけの逸品を壊してしまうのは気が引けるが……まあさしずめ爽やかな朝を妨害した罰にでもしておこう。
そう思うが早いか、私は戦車のうちの一つに拳銃を模した手を向ける。自然と体の内側から喜びが溢れ出て、笑ってしまう。

「科学者さん。荷電粒子砲ってご存知ですか？」

刹那、私の指先が途轍も無く発光した。莫大な放熱が起き、プラズマが発生する。
煙が晴れた頃には、そこにあった全ての兵器は稼働停止していた。