科学屋 和華 ページ18
(和華達と美咲さんが会ったところまで遡ります)
「ねえ君たち、どうしたのー?」
唐突に声をかけてきた、桜色の髪と白衣が特徴的な少女。和華は身を強張らせた。追っ手か?頭の隅で考えが浮かぶ。
「道に迷ったの?それとも悪戯っ子か、外来人か…」
「えっと、私たちは…」
と、音原莉来。
(いいや、きっとこの人は…)
突然、ビビー、ビビーと警報音が鳴った。和華は咄嗟に耳を塞いだ。
白衣の少女はポケットから何かを取り出し、慌てた様子で二言三言呟いた。
「はいこれ、森の地図。迷ってたらこれ使って。外来人だったら家ないだろうし、ちょっとならうちで泊まってってよ。あ、このバツ印がうちね。丁度紅茶沸いてたから是非飲んで。じゃあね!」
そう言って和華に地図を押し付けた白衣の少女は、ちょっと機械的な箒に乗って去っていった。
「……とりあえず行ってみる?
何か企んでいる様子はなかったし……」
夏が引き攣った笑みを貼り付けて躊躇いがちに言う。和華と音原莉来は黙って頷いた。
「じゃあ早速行ってみよう!」
夏は和華が持っている地図をひったくって、二人を先導して歩いていった。
目的地はそこから数百メートル程度の距離で、そう遠くなかった。三人が地図のバツ印に合致する場所へやってくると、古ぼけた掘っ建て小屋が森の中にぽつんとあった。
外装もシンプルであまり派手な感じでは無い。そして、中へ通じていると思われるドアには、「科学屋 営業中」と看板が掛かっていた。
(科学屋、か…)
和華は顎に手を当て思考を巡らせた。
和華の生前の知識によれば、幻想郷は外の科学万歳主義とは対比して、科学は否定されているそうだ。登場人物の中でも科学に傾倒しているのは二人、科学屋なんてものは開いていなかった筈である。
「大丈夫かな…」
音原莉来が上目遣いに科学屋の建物を見る。夏が「ま、なんとかなるよ!」と言って、ドアを三回ノックした。和華はふう、と息を吐いて、ドアの方を見た。
中からぼんやり声が聞こえた。和華には「はい、ちょっと待ってくださいね」と聞こえた気がする。
ガタンガタンと音がし、ガチャリとドアが開いた。
「いらっしゃいませ!科学屋へようこそ!」
顔に満面の笑みを浮かべた先刻の白衣の少女が現れた。少女は「あ、」と声を上げて、和華達三人を店の中へ迎え入れた。
「さっきのお三方ですね。ご用件は?」
「私達、少し面倒事に巻き込まれてしまって。安全な場所へ避難しに来たんです。」
夏が言う。…和華は思った。
(科学屋って…安全なのか?)
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鈴@suzu(プロフ) - さっきさん» 6巻の方の話なんですけど、空夜さんって操られてる側ですかね?お話に使いたいので。返信は遅れても大丈夫です。 (2020年10月23日 16時) (レス) id: 04b7ddb7ca (このIDを非表示/違反報告)
サナティ(プロフ) - 続編の作成完了しました! (2020年10月20日 17時) (レス) id: 249d9050a8 (このIDを非表示/違反報告)
サナティ(プロフ) - 臨海凛師さん» 分かりました!それじゃあ続編作成しまーす! (2020年10月20日 17時) (レス) id: 249d9050a8 (このIDを非表示/違反報告)
臨海凛師(プロフ) - サナティさん» 良いですよ!! (2020年10月20日 17時) (レス) id: ad2c0a2c17 (このIDを非表示/違反報告)
サナティ(プロフ) - 臨海凛師さん» 了解しました! (2020年10月20日 16時) (レス) id: 249d9050a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サナティ x他4人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/
作成日時:2020年6月13日 20時