【募集企画】東方幻想記録物語 5巻 (ページ17)

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核融合！美咲ページ17

さ、て…皆様に科学を提供しなきゃなーとか思っていたら、本日3回目のあの音が鳴った。

ビビー、ビビー

「またお客さん？」

レーダーの受信機を確認してみる。
人数は四人。近くの監視カメラを確認すると、妖精が三人と、天狗…かな？が一人映っている。
この様子だと迷子か。だんだんうちに近づいてきているし、迎えに行く必要は無いかと判断した。

「大丈夫みたいですね。」

お客さん四名様に笑顔を向ける。ミリセスには向けなくても良いけど。

「えー、では！本日の実験テーマは！
『おうちで簡単核融合』です！」

三人が首を傾げ、一人が目を見開く。

「うんうん、驚いて頂けたみたいですね。じゃあ説明しましょうか。
まず、核融合とは、原子と原子のぶつかり合うエネルギーを利用した発電方法です。『核』なんてこわーい名前ついてますが、リスクの多い核分裂エネルギーよりも核融合の方が断然リスクが少ないです。
しかし、一つ問題点があります。
核融合には核融合炉が必要不可欠なのですが、核融合炉というものはとても複雑な作りをしていて、一日二日程度で作れるようなシロモノではありません。国内でも屈指の技術者を集めても、十年はかかると言われています。
ですが安心してください！そんな問題、私の能力でなんとかして見せましょう！」

演説を終え、鉛の箱をガタンと机から取り出す。

「えー、これには核融合に必要な重水素と三重水素が入っています。ちなみに重水素は海水から取れ、三重水素は鉱山などで取れます。そしてこれをぶつけてエネルギーを作り出します。
核融合炉が無い、という問題は、私の能力があればオールオッケーです。」

「ちょ、ちょっと！あなたの能力があれば良いってことは、あなたの能力がなければできないってことじゃない！」

ミリセスが言う。ふふん、甘いねぇ。

「チッ、チッ、チッ。甘いよぉミリセス。私の能力使用時の脳波を解析し、そこに脳波を調律すれば理論上は他人でもこの能力が使えるのさ。
じゃあ、まず私が核融合反応を起こs…」

｢すみません！この森で迷った3人の妖精と1人の天狗なんですが、霧雨魔法店へと行く道を教えてくれませんか！｣

バァン、とドアが殴るように開け放たれ、先刻カメラに映っていた四人が現れた。
しばらく店の中に沈黙の妖精が飛び回った。私含め店にいた5人が、口を閉じて妖精たちの方を真顔で見つめた。

「霧雨魔法店、ですか？」

「そう！霧雨魔法店です！」

「ああ、そうですか…」

目を妖精からすっと逸らす。

どこ、そこ。