【募集企画】東方幻想記録物語 4巻 (ページ19)

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異変解決。これから… 和華ページ19

「ん…」

どれ程時間が経ったのだろうか。日差しが射し込んでいる。和華は一瞬開けた目をもう一度閉じた。
小鳥のさえずりがよく聞こえる。床の木の温もりを和華は感じ取った。
(異変は解決したんだろう。)
ぱちりと目を開けると、夏の大きな目が和華をじっと見つめていた。

「和華さん起きましたか？」

「ああ…」

起き上がろうとする和華の体に、痛みが走る。状況から見るに能力の反動だと和華は結論づけた。

「ありがとうございます」

にこりと笑って夏は言う。
(異変の件か。)
補助に回っても感謝されるなんて人間関係って面倒だ。和華は思った。

「普通のことだ。感謝されることじゃない。」

やっぱりそうですか、と夏は言って、神社の奥の方へ駆けて行ってしまった。
和華はその辺に脱ぎ捨ててあった自分のローファー(砂埃が結構付いていたので少しはたいた)を履き、ふらふらと歩いた。神社の階段の上から二つ目くらいの段に腰掛ける。
(これからどうするか…)
和華は考え込んだ。
前の森に戻るか？森までは遠い。結構なエネルギーを使うだろう。エネルギーの浪費は避けたい。
博麗神社に厄介になるか？迷惑だろう。それに、異変解決を生業にする博麗神社に居たら、こんなことは日常茶飯事。それこそエネルギーの浪費だ。まあそれは幻想郷に居る限り仕方がない事だろうが。
人の伝手の無い世界ほど不便なものはない。和華は嘆く。嗚呼、なぜこんなところに迷い込んでしまったのやら。そもそも無気力の和華が新天地で一人暮らし？冗談にも程がある。
(とりあえずみかんを食べよう。)
和華にはどこか能天気な部分がある。どうにもならない壁にぶち当たると、そこから目を背けたくなるのだ。みかんの皮を剥いて、筋を取り、口の中に含む。甘い果汁が口の中に広がる。素敵な時間だを過ごしていると言う充実感を和華は味わった。

「って、そんなことしている場合じゃないが…私にやれる事無いんんだよなぁ…」

和華は天を仰いだ。誰かこの状況を何とか出来る奴がいたらここに来い。そしてこの状況をなんとかしてくれ…

和華はもう自棄糞である。